■ライダー時代からカメレオン俳優の片りんをのぞかせていた
昨年の磯村は、アニメ声優としての出演も含めると、8本もの映画に出演。しかも、どの作品も役の方向性はまったく違う。そんなカメレオン俳優ぶりは、白石氏や生田のみならず、同業者の間でも評判だ。
2021年12月に上演された舞台『泥人魚』で共演した宮沢りえ(50)も、そこで見せた磯村の演技を高く評価し、彼の俳優としての資質、姿勢を買っていると言われている。
たとえば同年3月30日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)で宮沢と磯村は対談しているが、「僕は1度、舞台で長台詞の間の部分が飛んでしまい、あ、ヤバいなってなって、とにかくしゃべり続けるってことをしました」と、台詞をアドリブで乗り切ったことについて、宮沢は「すごーい!」と感心しきりだった。
そのためだろう。宮沢は2016年7月に神奈川県相模原市の施設『津久井やまゆり園』で起きた『相模原障害者施設殺傷事件』をモチーフにした映画に出演すると噂されているが、同映画の“犯人役候補”には、磯村の名前も挙がっているという。
そんな磯村は、2015年10月~2016年9月放送の西銘駿(25)主演作『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)にて、3号ライダーの“アラン/仮面ライダーネクロム”を演じててブレイクを果たした、仮面ライダー俳優としての顔も持つ。
磯村さんが今日の舞台挨拶で言っていた白い軍服を特別公開!どんなシーンなのかお楽しみに! pic.twitter.com/h7clreIsY9
— 仮面ライダーゴースト (@kamenghost_toei) February 26, 2017
磯村が演じていたアランは、人間界の侵略を狙う眼魔世界(がんませかい)の王子(4兄弟の三男)。
当初は敵サイドのキャラとして主人公の“天空寺タケル/仮面ライダーゴースト”と敵対していたが、アランの侵略は「争いばかりの人間世界を変えたい」という善性に基づいていた。
さらに、人間界で出会ったたこ焼き屋のフミ婆(演:大方斐紗子)との交流や、眼魔世界に存在しない、自然や生き物の美しさなどに触れたことで心境が変化。頼れる味方となっていくドラマが丁寧に描かれていた。
オープニングの演出も、“無機質な都会を無表情で一瞥するアランと、真っ赤な部屋に立つネクロム”だったのが、和解後は“美しい公園の木々と花々に囲まれて微笑むアランと、青空を背景に立つネクロム”に変更。心境の変化を表現した爽やかな映像が、非常に好評だった。
なお、『ゴースト』の第44話では“アランの身体にハイテンションでうるさい若い住職・御成(演:柳喬之)が乗り移る”という展開があり、そこでは表情もさることながら視聴者から「声だけアフレコで変えたのかと思った」と誤解されるほどの完コピぶりを披露。のちのカメレオン俳優ぶりを覗かせていたのだ。