■TBSも配信への期待があったと考えられるが……

 そんな大作だけに、まず間違いなく、TBSは総出でバラエティ番組や特番を駆使して、『VIVANT』を猛プッシュすると考えられる。

「2月10日放送の『日曜日の初耳学』など、福澤氏がTBS番組で顔出し出演することも珍しくないですからね。

 そうなってくると、確実に『陸王』や『下町ロケット』、そして何よりも『半沢直樹』に関するエピソードについても触れなければ不自然です」(前出のテレビ誌編集者)

 そして、ビジネス的にも過去作をぜひとも『Paravi』で――とTBSは考えていたのではないだろうか。

「『Paravi』は『U-NEXT』と経営統合しましたが、依然としてTBSとの関係は切れていませんからね。『VIVANT』効果で盛り上がっているタイミングなら、あらためて『半沢直樹』にも注目が集まって、“有料会員になって見てみよう”と考える人も増えることでしょう。

 しかし、猿之助さんの逮捕で2020年版の『半沢直樹』は大っぴらに宣伝できなくなるし、最悪の場合は世に出回っているDVDやBlu-rayはともかく、『Paravi』の配信はお蔵入りになる可能性さえあるわけですから、痛恨ですよね……」(前同)

『半沢直樹』の2020年版は、テレビ離れが嘆かれる時代でありながらも、世帯平均視聴率が全話20%以上を記録。「2016年10月にビデオリサーチが調査を開始して以降史上初の総合視聴率40%超え」という大記録も打ち立てた作品である。

「TBSのみならず、日本のテレビドラマ史を語るうえで欠かせない伝説の作品が観られなくなる可能性がある。しかも、名演出家の福澤氏の集大成である『VIVANT』が控えている状況で、水を差すような事件だったわけで……いろいろな意味で、タイミングの悪い逮捕でしたね」(同)

 もしかすると2020年版の『半沢直樹』が配信などでは二度と見られないのかも――それが現実となれば、残念でならない。