■安藤だけでなく夫役の長谷川博己も含めて名シーンだった

 前出のテレビ誌編集者が振り返る。

「朝ドラ史上初の、現実に出産経験のあるヒロインが演じる出産シーンでした。従業員たちのケンカを仲裁している最中に産気づいてしまう、という流れで、そこから出産まで、安藤さん、そして、夫役の長谷川博己さん(46)やその他従業員役の俳優たちも非常に熱の入った素晴らしい演技をしていて、名シーンが生まれました」

 安藤演じる福子が柱につかまり「うぅ……」「痛い痛い痛い」と苦悶の表情を浮かべ、座り込んでしまうと、その場にいた従業員たちは大慌てで萬平(長谷川)を呼び出す。

「お、お産婆さんを呼べ!」「大丈夫だからな!」と慌てつつも苦しんでいる福子を励ます萬平。そして、

《(※産む寸前の)うぅっぅ~の演技!さすが経験者!》
《久しぶりに陣痛の痛みを想い出した》

 と、安藤のリアリティある演技を称賛する声が当時多く寄せられたのだ。

 さらに出産のシーンでも、必死に声にならない悲鳴を上げていきんでいる福子を見ながら、萬平も歯を食いしばっており、赤ちゃんの産声が聞こえた瞬間には従業員たちと抱き合って大喜びする――安藤演じる福子以外も実に丁寧に描写されており、

《萬平さん&塩メン(従業員たち)以上に視聴者も力が入った出産シーン》
《朝ドラで一番好きな出産シーンはまんぷくの福ちゃんだな。部屋の外で萬平さんと塩軍団が一緒にいきんだりしてたやつ》
《あれだけの男性が、半分立ち会い出産みたいな描写。塩軍団と萬平さん夫婦の関係もいいんだなあ》

 と、非常に高評価だった。

 そんな『まんぷく』に対して、近年の朝ドラで特に出産シーンの評判が悪かった作品もある。それは――。

「お察しの通りかもしれませんが、2022年度前期の、黒島結菜さん(26)主演の『ちむどんどん』ですね。

 出産シーン以前に多く場面で脚本や演出が酷すぎて《#ちむどんどん反省会》というワードも生まれてしまった作品ですが、出産シーンもその例に漏れずツッコミどころが多かった。非常に評判が悪かったんですよね。ちなみに、黒島さんの姉役の川口春奈さん(28)は“陣痛”のシーンがありましたが、そちらは好評でした」(前同)