■「今シーズンは旬で身近な話題を盛り込んだ“あたたかみ”のあるテイスト」

 こうした『season23』の演出に視聴者からは、

《前シリーズのシリアス調からコメディ調に戻してきたものの個人的に好きだったマリコの推理演出が継続してて嬉しかった。》
《前シーズンはシリアス演出で重苦しかったけど、今シーズンは適度にコミカルで普通に楽しめそう》《科捜研の女、昔みたいな演出に戻ったね》

 と、好意的な声がSNSに寄せられている。

 ちなみに、マリコの相棒・土門薫刑事を演じている内藤剛志(68)は前シーズンと今シーズンについて、

「昨年は科学者同士の対決というハードテイストでしたが、今シーズンは旬で身近な話題を盛り込んだ“あたたかみ”のあるテイストになっていると思います。今シーズンは、科学で真相を突き止めていくクールさと、ひとりの人間として相手に寄り添う温かい心、その両方を大切にしながら演じています」

 と、8月16日の『オリコン』でコメントを寄せていた。

「前シーズンは海外ドラマふうでスタイリッシュな演出など、若者ウケを狙っていた感じでした。しかし、若年層の数字は伸びなかっただけでなく、突然の変更についていけない従来の科捜研ファンまで離れてしまったところがありました。そのため、今回の“揺り戻し”になったと考えられる。おそらく、もう無理に若い視聴者を確保しようと躍起になるのを止めたのかもしれません。

 若年層の視聴者を切り捨てる形になるかもしれませんが、現在は業界的にコア視聴率が重視されるとはいえ、制作サイドとしては『科捜研』は上の世代にしっかりと楽しんでもらいたい、というところに落ち着いたのではないでしょうか。テレビ朝日は、民放局の中でもコア層にこだわらず、幅広い層に向けて番組制作を行なっている局でもありますからね。

 そして、やはり、『科捜研』の内容や大ベテランの沢口さんや内藤さんがメインになってくるところでは、若年層の視聴者を獲得しにいくには無理がある、という判断に至ったのではないでしょうか。それでCMが入るのか、という問題はあるでしょうが……シニア層に大いに楽しんでもらうドラマ、それも非常に意味があることですよね」(前出のドラマ制作会社関係者)

 主演の沢口ほかキャスト、そしてスタッフの熱意がある限り、シリーズは続いていくのかもしれない――。