■「本当にみんな知らなかったの?」デーブ氏が語る本音

 この一連の動きを、テレビプロデューサーであるデーブ・スペクター氏はどう見るのか。

「正直、やりすぎだと思います。そもそもクライアントとジャニーズ事務所をつなぐ広告代理店が、この問題を知らなかったというのは無理がある。代理店は業界そのものですし、またキャスティングの決定権を持つクライアント企業の重役ともなれば、あらゆる情報が入ってくる。

 みんな本当に知らなかったの? と言いたいです。今回、問題の火付け役となった3月に放送されたBBCのドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』がなければ、だんまりを決め込むつもりだったのでは」

 加害問題の被害者は数百人に及ぶと報じられていることから、デーブ氏も「事態は深刻だ」と言う。しかし、「コンプライアンスを武器に正義を振りかざしすぎでは」とも話す。

「ジャニー氏の加害行為は“噂レベルで聞いていた”と東山さんは会見で話しましたが、“噂”ってもっと曖昧だと思うんですよ。元所属タレントにより、ジャニー氏のことが明かされた暴露本が過去に何冊も出版されています。

 2003年には東京高裁の判決で、ジャニー氏による加害実態を報じた『週刊文春』(文藝春秋)の記事が事実認定も受けている。これは“噂”ではなく“情報”と呼ぶレベルです。

 裁判所も事実と認めた“情報”。これを代理店やナショナルクライアントの担当者が知らなかったというのは、無理があるのでは」

 相次ぐクライアント離れの背景には、ジャニーズ事務所が長年続けてきた商習慣が関係しているという。

「看板タレントがドラマに出演するとなれば、必ず後輩タレントをバーターでねじ込む。目玉商品のCMに人気グループを起用したければ、後輩グループを他商品の宣伝に使うよう陰に陽に圧力をかけてくる。正直、クライアントはうんざりしていたんですよ。

 同じドラマにジャニーズのタレントが複数人登場していたことが異常だった。今回の問題を口実に、クライアントによるジャニーズ切りが始まっただけなのではないでしょうか」(デーブ氏)

 そんななか、音楽業界内からもジャニーズに逆風が吹き始めている。ジャニーズタレントの“独占市場”だったテレビ朝日の『ミュージックステーション』の9月29日の放送回には、同じ男性グループの『BE:FIRST』の出演が決まった。

 そして、あと約3か月後に迫った大晦日の風物詩『NHK紅白歌合戦』では「“今年はジャニーズは辞退すべき”という声が音楽界から出ています」(レコード会社関係者)という。

「昨年、SixTONESSnow Manを筆頭に6組も紅白に出場したわけですが、現在の状況を考えると、今年はさすがに辞退したほうが良い、という声が多く上がっていますね。

 ジャニーズタレントが出場するならチャンネルを合わせないという視聴者も出そうです。これで例年同様出場して、猛バッシングが起き、視聴率がダダ下がりしようものなら目も当てられません」(前同)