■作風を考えると『金ロー』枠の放送は英断だった

 アニメの初回を伝統の『金曜ロードショー』の枠で放送する。これは前代未聞の試みだが――。

「そもそも、『フリーレン』は戦闘シーンが主体の『鬼滅』とはジャンルがまったく違う。『フリーレン』の独特さを考えると、日テレが『金曜ロードショー』の枠を使ったのは、非常に良い判断だと思われます。

 本作はエルフと人間の時間の流れの違いや、移り変わる季節などのゆったりとした丁寧な描写が魅力的な作品なんですが、このタイプの作品には“1話切り”のリスクがあるんですよ」(エンタメ誌ライター)

 本作にも戦闘シーンはあるが、基本的には過ぎゆく日常と、人間ドラマが美麗な作画で淡々と描かれていく。原作を知らない人からすると、退屈に感じてしまうかもしれない。

 そのため、原作ファンからは『金曜ロードショー』枠でじっくりと1話から4話までを描いたことを、

《初回2時間なんて手法を取った理由がよくわかったフリーレンの「ゆっくり流れていくのにあっという間な時間」というこの作品で絶対必要な部分を視聴者に体験させないといけないってスタッフの丁寧さと熱意がすごい そしてこれを通常の深夜30分でやったら今どきの初見勢は1話切りするやつ》
《葬送のフリーレン、面白いのは面白いんだけど、ご覧の通りに「派手さは無く」「淡々と」「しっとりと」進んでいく物語だから、チンタラと1話ずつ1週間おきで小出しにしていってそれらを「退屈」とマイナスに受け取られないように、ギュッと圧縮して最初にドンとお届けするのはまぁ正解な気はするな》

 といった声が多く寄せられているのだ。

 また、原作漫画は「バトルシーンの作画がイマイチ」という声もあるが、アニメでは迫力が増している点も、

《戦闘の作画が迫力あったからバトル多めになってくる後半の話と2期がもう楽しみ》
《原作の雰囲気をしっかり尊重しつつ、原作の微妙な部分(アクションに魅力がない)は良くなっている》

 と、評価されている。

「『鬼滅』のようにド派手なバトルシーンが主体の作品ではないし、作品の性質上“ながら見”や“倍速視聴”とは相性が非常に悪く、腰を据えてゆっくりテレビを見れる人でなければ、楽しめないところはあります。

 しかし、作品の質は非常に高い。さすがに『鬼滅』超えは難しいかもしれませんが、一定の新規ファンは確立できていると思います。日テレにはもう1つ、映画部門でも『葬送のフリーレン』に期待しているとささやかれていますから、順調な滑り出しではないでしょうか」(前同)