■あたらない秘密は「海洋深層水」

 そこで、ゼネラル・オイスター社は牡蠣がノロウイルスを体内へと吸い込まないためにと、14年から沖縄県にある久米島で牡蠣を完全陸上養殖へと踏み出したというわけだ。しかし、陸上で牡蠣を養殖したとて、海水を利用するのに変わりはない。それではなぜ、陸上養殖を行なった牡蠣は“あたらない”のか。

「200メートル以深には太陽の光が届かない。ですから、植物プランクトンなども光合成ができません。日常で海へと吐き出される生活用水も水深200メートル以下には届かない。つまりは、ノロウイルスなども含まれていない、綺麗な海水というわけです」(前出の鷲足さん)

 一日当たりの海洋深層水取水量が1万3000トンと日本一を誇る久米島の利点を活かし、結果的に“あたらない牡蠣”の養殖に成功したというわけである。

 そんなゼネラル・オイスター社が現在、生産する陸上養殖牡蠣の数は年間数百個。その数でも使用する海水の量は、1時間あたり20トンほどだというのだから驚きだ。今後、市場販売を目標に数十万個台の生産量を目指すにあたっては、海洋深層水の再利用を目指すも1時間に200トンほどは使用することとなる。

“あたらない牡蠣”の市場には「大きな魅力がある」と鷲足さんは語る。

「現在、航空業界や医療従事者を中心に万が一に備えて牡蠣を食べないという方は一定数いらっしゃいます。また、ホテルなどでも集団食中毒の感染などを恐れ提供しないというところも少なくありません。弊社では国内外を含めて潜在ターゲットとなりうるお客様は多いと見込んでおります」

 その陸上養殖牡蠣の大きさはいかほどなのか。