■店頭価格は1000円も……陸上牡蠣の大きさ、味は?

「通常、海で育てられる牡蠣は一般的に殻を含めて100グラムほどで、身は20グラム程度。それに対して、陸上養殖牡蠣は全体が60グラムと小ぶりですが可食部は25〜30グラムと身がたっぷりと詰まっています」(前出の鷲足さん)

 自然環境の中で荒波に揉まれて過ごす牡蠣とは違い、養殖牡蠣は自分の身を外敵や過酷な環境から守る必要はない。そのため、体内へと取り入れた栄養分の多くを身の成長へ使えるというわけだ。これだけ大ぶりの牡蠣となれば、気になるのはその味である。

「特徴はやはり甘みの強さ。海で養殖されたものと比較してもとにかく甘い。タウリンなどのアミノ酸も海洋養殖と比較しても高い数値が出ています。たんぱく質などの栄養分が高く、甘みが強い牡蠣が出来上がりました。ぜひ、生で食べてもらいたい」(前同)

 また、陸上養殖牡蠣は成長までの時間が11か月と、海で育てられた物よりもその成長速度が1〜2年早いという。店舗で販売する際の価格はどの程度を見込んでいるのか。

「レストランでの販売価格は、1個あたり600円~1000円ほどを想定しています。国産の牡蠣は海外でも高く評価されていますし人気がある。香港では輸送費用や時間の関係から仏産の物よりも評価されています」(同)

 苦節10年で日本企業が産み出した“あたらない牡蠣”。今後、市場へと流通すればノロウイルスのリスクを避けて食事をする人々にも受け入れられるかもしれない。