■“多すぎる人物”と“憧れの脚本家”の存在も影響か
「『いちばんすきな花』苦戦の原因――3つ目は“クワトロ主演”だと考えられます。4人それぞれの物語で、当然ながら4人の周囲で個々の人間関係も描かれるから、登場人物も多い。この群像劇のような物語を追うのがキツいと感じる視聴者も、多いのかもしれません。それぞれの物語も薄くなりますしね。
そして、『silent』と違い、周囲の人物が無神経で性格の悪い人が多いことも、見ていてストレスを感じる要因でしょうね」
《特に気になるのは登場人物4人以外の周りの人達が嫌な奴が多すぎでしょ。この4人がどうこうよりも、その他の人の人間性はどうなの?って感じてしまう。今田美桜に友達からって言った奴とか人としてひどすぎるから》
《花?既に散ってる感…登場人物多いとその分話が散漫になる雰囲気を重視してるから、何を言いたいのかよくわからない》
という、“見ていて不快”と指摘も多い。
「4つ目は、脚本家の生方さんの作風が、『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)などで有名な脚本家の坂元裕二さん(56)の影響を受けていることです。生方さんは坂元さんへの憧れを公言していて、それが会話劇のテンポ感などに反映されているのですが、どうしても大ベテランの坂元さんには劣る、と。坂元さんに勝てないのは当然のことで、仕方のないことなんですがね。
『silent』の頃と比べて生方さんの知名度が上がり、坂元脚本に憧れていることを知る人も増えたため、やはり比較されてしまっているんですよね」
生方氏は2021年に『フジテレビヤングシナリオ大賞』で「坂元裕二さんみたいに、唯一無二といわれる脚本家になりたい」と話していたが、今、視聴者からは、
《劣化版坂元裕二。言葉をこねくりまわした結果登場人物はセリフを言わされているだけになってて「画面の向こうで生きている」感がまったくない。テンポも悪い。役者と音楽はいいだけにもったいない》
《ごめんなさい切ります、何度も言うけど(敬称略)坂元裕二に憧れ過ぎた人が書いたドラマではなく生方美久が書いたドラマを見たかったです。これは「(個人的にダメな)坂元裕二作品(クドい・主人公側以外の周りを悪く描きすぎ)状態」》
といった厳しい意見はSNSに多く寄せられている。
「もちろん『いちばんすきな花』のファンは多いし、単純な恋愛ドラマにしない作風は、ドラマ業界のマンネリ打破のためにも必要な、チャレンジングな試みでしょう。フジテレビの、村瀬プロデューサーの超意欲作であるのは間違いない。それだけに、数字が全く振るっていない現状は、とても残念な事ではありますが……」
社会現象を巻き起こした『silent』。クリエイターの最大の壁は、自分の作品とはよく言う話だが、『いちばんすきな花』の今後は――。