■音楽と芝居では「全然違う脳みそを使っている」
――音楽活動から俳優業に挑戦。大きな違いは感じていますか?
ものすごく違うと思っています。もちろん軸に表現というものがあって、いろんなことができる。だけど、音楽を今までやってきて、目で見て、一緒に体感する表現って音楽だけではなかなか難しいときもあって。
お芝居って、自分自身もその世界に入り込んで表現できるというのはすごく面白くて。可能性がまだまだあるんだって思ったし、音楽にしかないフィーリングとか、音楽にしかない感覚とか、エモーショナルな部分もあるんだなっていうのも再確認しました。自分は表現者としていろんなことを知りたいし、表現していきたいとあらためて思いました
――音楽のライブに向かうときと舞台に向かうときの気持ちに違いはありますか?
音楽はセリフがないので、セリフを覚えることが一番不安でした。歌だって覚えてきたはずなのに、脳みそがやっぱり違うんだって思いました。全然違う脳みそを使っているなって思いましたし、まだ私が初めてだからこそだと思うんですけど、めちゃくちゃ緊張します。稽古も緊張します。“どうしよう”っていう不安はずっとまだいるので、“どうしよう魔人”を早くやっつけたい。
――BiSHのときも最初の頃は“どうしよう魔人”が出てきました?
知らないし、経験がないことでしたしね……勢いの強いおじさんたちが“ワーッ“て言ってきて、“なんや”って思ったし。動物園みたいな空間で“それこそどうしたらいいんだよ”と思っていましたけど。数を重ねて自分自身と向き合って見つめていくことで、やっとどうやって自分がそこに存在したらいいかとか、BiSHっていうグループがどうやってこの世界で生きるべきかみたいなのがやっと見つかってきて、どうしよう魔人をやっつけましたね。
■「私の新しい一面をこの作品で出し切れたらいいな」
――舞台や演技をすることも、数を重ねて自分がどうするべきみたいなのが、これからどんどん見えてくるのかもしれませんね。
どうなんですかね。それがいいのか悪いのか分かんないし、慣れちゃいけないと思うので、
とりあえずいま目の前にあることをどれだけ自分のエネルギーに変えていくかということに集中したい。頑張らなきゃなと思います。
――では、あらためて今回の作品に臨む気持ちを教えてください。
私としては初めての舞台で、本当に初めてだらけなんですけど、奇跡的に本当に素晴らしい仲間に出会って、信頼できる演出家の濱田さんに出会って。毎日、刺激をいっぱい受けているので、私の新しい一面をこの作品で出し切れたらいいなと思います。
生きる力を与えられたらいいなと思っているので、雷に7回撃たれた男の生きてきた姿を見に来てください。お願いします。
加藤千尋(セントチヒロ・チッチ)
東京都八王子市出身。“楽器を持たないパンクバンド”BiSHの元メンバー。グループは2023年6月29日、東京ドームの公演をもって解散。2022年8月より「CENT(セント)」として本格的にソロ活動を開始。BiSH解散後は「加藤千尋」名義で俳優活動もスタートさせた。
舞台『雷に7回撃たれても』
脚本・演出:濱田真和(Superendroller)
出演:大下ヒロト/加藤千尋、他
2023年11月3日(金)~11月12日(日)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
公式サイト:https://kaminari7times.com/
スタイリスト:佐々木翔 ヘアメイク:飯野梨那