■「チャンスの神様、後ろはハゲ」

 さらに、山口氏は40歳のころに「自分には絶対に合わないだろう司会の仕事」が増えたという。仕事をすると感謝されて嬉しいが、背中合わせで「俺じゃないんじゃないか」「あの名司会者の方がいいんじゃないか」などなど、不安に押しつぶされてしまった――そんなふうに「不安」に支配されて酒に逃げてしまった(本人はお酒が好きなつもりだった)ことを、自助グループで自覚できたという。

 自分が納得していないことだけを過度に引っ張って、あれだけ周囲に褒められて仕事がある自分を見ていなかった――これはアルコール依存症と関係なく、多くの人に当てはまることだろう、と山口氏は参加者へ問いかけていたそうだ。

 そのうえで、自分に自信を持つためにも「立派になる必要はない。今日の自分を受け入れて、納得してください」としたうえで、それでも足りなかったら、「明日からどうしようか」「“アイツ”に勝たなくていい」と。人が作ってくれているイメージに感謝しようと語り、参加者に対して、

「チャンスの神様、後ろはハゲ」

 という言葉を、山口氏は贈ったという。

山口達也氏

「チャンスは正面からしか来ないから、そこで捕まえないと通り過ぎてしまう。自分が苦しくて、下を向いてそっぽを向いていると通り過ぎていく。成功している人は、正面を見ている。

 だからこそ、自分が“こう生きたい”というのを考えて、人にしゃべるのを習慣にすることで、ヒントやチャンスが、周囲の人から飛んで来る確率が上がる、という意味でした。これは、山口さんも体験したことだといいます」

 山口氏は2019年に『女性セブン』(小学館)で芸能活動を再開する意思はないと明言しつつも、

《もう一度人前に出たいんです。やっぱり人に何かを訴えかける仕事がしたい》

《大きな過ちを犯した山口だからこそ、みんなに言えること、伝えられることがあると思う》

 と、独占インタビューに答えていた。

 そして、山口氏はこの取材がずっと頭に残っていて、「俺はもう芸能界に戻るつもりはないけど、この話を誰かに聞いてもらいたい」と、自助グループでも3年間話すようにしていたことで、手を差し伸べてくれる協力者が現れて、「株式会社山口達也」を立ち上げることができたという。

 そして、「いつでも行ける準備」をするために多くの資格を取得したり、世間が求める「エネルギッシュな山口くん」を見せるために、健康にも気を使っていたことを、講演で明かしたという。

「こうした一通りの話が終わった後、質疑応答の時間になりました。そこではTOKIOと山口さんの絆をあらためて感じさせるエピソードも出たほか、質問の合間には滝沢秀明さん(41)のTOBEに関するジョークも飛び出していて、やはり参加者の笑いを誘っていましたね」