■見逃し配信は大人気でも……テレビ界の構造的問題
村瀬プロデューサーは『いち花』のテーマである「男女の間に友情は成立するか?」は、「口にするのは簡単なんですけど、物語にするとなると難しい」という理由で、長年にわたり構想段階にとどまっていたことを明かし、「正直『silent』の後じゃなかったら通らなかったと思います」と、9月11日に『マイナビニュース』のインタビューで答えていた。
視聴者からは、
《ザ恋愛ドラマ苦手やから、次回が待ち遠しいドラマが久しぶりにできて嬉しい》
《若者の軽い恋愛ドラマかと思って見始めたら、どーんと突き刺さったぜ》
といった好意的な意見もあるが、
《silentチームが手がける言うから胸きゅんしまくり恋愛ドラマかと思いきやいきなり破局してつらすぎるじゃないか!ドラマくらい幸せが見たいんだよ》
といった声も、SNSにも多く寄せられている。
「面白いドラマであるのは間違いない。リアルタイムで視聴している人が少ないだけでファンも多い。『いち花』の見逃し配信の記録からも、それが読み取れます」(前出の制作会社関係者)
『いち花』は第1話から第4話の11月5日時点での『TVer』と『FOD』の無料配信における総再生数が1400万再生を突破。さらに『TVer』の“お気に入り登録”数も、10月クールの民放ドラマでは最多の126万を記録している。
「ですが、地上波と『TVer』は、広告収入に歴然とした差がある。『TVer』でいくら見られても、地上波の10分の1程度しか稼げないといいます。だから、いくら『TVer』で人気でも、リアルタイムで視聴率が取れなければテレビ局は全く喜べない。
『いち花』はドラマ愛好家に刺さる作品だけに、彼らはリアルタイム視聴にこだわらず、自分の時間で見る人が多いのでしょうね。その結果、『TVer』は絶好調なのに、リアルタイム視聴率が全く取れないという、フジテレビにとっては極めて厳しい結果になっているのでしょうね……」(前同)
作品の評価は決して低くない『いち花』。しかし、フジテレビ内でのその評価は――。