■秋ドラマNo.1注目だった『いちばんすきな花』が超低空飛行

 同じフジテレビでは、「木曜劇場」枠(午後10時~)は夏ドラマに比べてコア視聴率はわずかに回復しているが、当初の話題性を考えると全く喜べないどころか、むしろ深刻な事態となっている。

・【10月期】多部未華子(34)、松下洸平(36)、今田美桜(26)、神尾楓珠主演『いちばんすきな花』の第5話(11月9日放送)…1.5%

・【7月期】若村麻由美(56)主演『この素晴らしき世界』の第5話(8月17日放送)…1.1%

※画像は『いちばんすきな花』の公式X『@sukihana_fujitv』より

『いちばんすきな花』は「男女の間に友情は成立するのか?」をテーマに違う人生を歩んできた4人の男女が紡ぎ出す“友情”と“恋愛”、そしてそこで生まれるそのどちらとも違う“感情”を丁寧に描いていくドラマ。

『この素晴らしき世界』は、平凡な主婦・浜岡妙子(若村)が、とある理由から瓜二つな大女優・若菜絹代(若村=二役)になりすます“なりすましコメディ”。鈴木京香(55)が主演を務める予定だったが、放送前に体調不良で降板。若村が主演に起用された。

「『いち花』は川口春奈さん(28)とSnow Man目黒蓮さん(26)が出演し、大ヒットした2022年10月のドラマ『silent』のプロデューサー・村瀬健氏と脚本家・生方美久氏が再びタッグを組むことから、放送前は秋ドラマでも最も注目を集めている作品でした。

 しかし、『silent』がコア5%台を記録していたのに対し、『いち花』は全く数字が取れていない。ドラマの出来は良いのですが、シンプルな“恋愛もの”ではないことが大きく影響したとも言われていますね。

 ライト層には届かない内容になっている分、ドラマ好きにはリーチできていてTVerの“お気に入り登録”数は137万人超(11月19日17時現在)という大きな数字になっています。しかし、じっくりと見たいドラマ好きは、リアルタイムではなかなか見てくれないということでしょうね……」

 その他、各局の人気枠の民放ドラマを比較していく。

【日本テレビ系 土曜ドラマ枠(午後10時~)】

・【10月期】SexyZone菊池風磨(28)主演『ゼイチョー ~払えない」にはワケがある~』の第5話(11月11日放送)…2.2%

・【7月期】松岡茉優(28)主演『最高の教師  1年後、私は生徒に■された』の第5話(8月12日放送)…3.3%

※画像は『ゼイチョー』の公式X『@zeicho_drama』より

『ゼイチョー』は「税金」を題材にしている、市役所納税課の徴税吏員と、各話に登場する滞納者の“ヒューマンエンターテインメントドラマ”を描くお仕事もの。

『最高の教師』は、卒業式の日に「担任生徒の誰か」に突き落とされた高校教師・九条里奈(松岡)が、気がつくと1年前の始業式の日に時間が戻っていたことから、「30人の容疑者」である生徒たちと向き合い、再教育するという物語だ。

「『最高の教師』は各話ごとに謎が謎を呼ぶ展開で、『VIVANT』に負けず劣らずの“考察ドラマ”として人気を博しました。また、芦田愛菜さん(19)が大学進学後の初ドラマという点でも注目度の高い作品となり、彼女の大熱演も話題になりましたね」

【TBS系 金曜ドラマ枠(午後10時~)】

・【10月期】高橋文哉(22)、志尊淳(28)主演『フェルマーの料理』の第4話(11月10日放送)…1.6%

・【7月期】Snow Manの目黒蓮主演『トリリオンゲーム』の第4話(8月4日放送)…2.5%

※画像は『フェルマーの料理』の公式X『@Fermat_tbs』より

『フェルマーの料理』は、『月刊少年マガジン』(講談社)で連載中の小林有吾氏による同名コミック(既刊4巻)が原作。数学者になる夢を挫折した高校生・北田岳(高橋)が、謎多きカリスマシェフ・朝倉海(志尊)との出会いを機に料理の道へと進み、数学的思考で料理という難題に立ち向かっていく姿が描かれる。

『トリリオンゲーム』は、『ビッグコミックスペリオール』(小学館)で連載中の稲垣理一郎氏が原作、池上遼一氏が作画を担当する同名コミックが原作の“世界一のワガママ男”のハル(目黒)と、弱気でコミュ障だけど凄腕プログラマーのガク(佐野勇斗/25)の、成り上がり物語だ。

「『トリリオンゲーム』は単独主演、『フェルマー』はダブル主演の違いはありますが、2作とも“イケメン同士のダブル主人公もの”、“未完の漫画が原作”、“何か不幸があったらしい未来の様子が冒頭に描かれる”と、共通項の多さを指摘する声もあります。シナリオのテイストは、『フェルマー』の方がシリアス寄りな作風ではありますが」