大人気格闘家の「引退」に今、大きな注目が集まっている――。
11月19日に行なわれたオープンフィンガーグローブ(OFG)使用、キックボクシングルールの新格闘技イベント『FIGHT CLUB』。ここに登場したのは『RIZIN』の舞台で活躍し、登録者数300万人超えの人気YouTuberでもある格闘家の朝倉未来(31)である。
対峙したのは、キックボクシング団体『RISE』初代OFGM-65kg級王者のYA-MAN(27)。試合を放送したABEMAの格闘チャンネルが戦前に行なったX(旧ツイッター)上のアンケートでは、7割以上のユーザーが『RISIN』で2度のタイトルマッチの経験がある朝倉が「勝つ」と予想。しかし、結果は1R77秒の秒殺決着。朝倉がリングに沈むこととなった。
朝倉は試合直後、一度は引退を示唆したものの、一晩明けて「RIZINの舞台でやらないといけないことがある」と前向きなコメント。そして、試合から2日後の21日には自身のYouTubeで涙を見せながら引退を撤回したが、長期の休養宣言を行なったのだ。果たして、惨敗を乗り越え、戦う格闘家・朝倉未来の姿はまだ見られるのか――。
朝倉にとってプロキックボクシングの試合は初だったが、2015年には元プロレスラーの前田日明(64)がプロデュースする格闘興行『THE OUTSIDER』で65-70kg級、60-65kg級王座と二階級制覇の快挙を達成するなど、その実力は折り紙つき。
しかし今回、いざ試合が始まると、YA-MANの繰り出した右ストレートと右フックで2度のダウンを喫し、77秒で試合は終了。朝倉が無惨にリング上で這いつくばる姿が画面上には映し出された。試合直後の朝倉は脳しんとうの影響で取材を受けられないほど。その後、自身のインスタグラムとYouTubeで「引退ですね」とコメントしたというわけだ。
しかし、試合翌日の20日になり、朝倉はインスタグラムのストーリー上で「1回休憩して色んなこと頑張らないとな」と再起を誓うコメント。さらに、総合格闘家で過去に舌戦を繰り返してきた平本蓮(25)からの《また頑張りましょ》というメッセージを紹介しながら、《RIZINの舞台でやらないといけないことがあるよな》と、まだ引退はできないという意思を見せたのだ。
そして21日の夜に配信されたYouTube動画では、まだ左目が腫れた状態の朝倉は真剣な表情を浮かべながら、今回の敗北をじっくりと考えたと語り、「今回のこの負けのショックはデカいです。ただ、こんなダサい終わり方でいいのか? みたいな。やり返しにいきたい、みたいな。そんな心のなんか、闘争本能っていうか、火みたいなのを感じていて」と話し、格闘家としての気持ちは残っていると告白した。
さらに朝倉は「格闘技を少し休ませてほしい」と語り、それは3か月か4か月か5か月になるか分からないとし、だが、「こんな負けで終わりたくない」と話し、「また血反吐を吐くような練習をして、またあの必ずね、皆さんの前で強い姿を見せたいと思ってるので……。なので、その時まで……」と言って右目に浮かぶ涙を指で払ったのだ。そして、気持ちを落ち着かせてから、「絶対に強い姿を見せるので、それまでちょっと待っていてください、皆さん。必ず戻ってきます」と語った。
12年に総合格闘技団体『DEEP』でデビューを果たした朝倉が、『RIZIN』へと初参戦したのは18年のこと。以降、20年の斎藤裕戦と23年のヴガール・ケラモフ戦と2度のタイトルマッチに臨むもいずれも王座奪取はならず。つまり15年に『THE OUTSIDER』でチャンピオンベルトを巻いて以来、無冠の状態が続いている。