■うろたえる演技や慌てるシーンが抜群の役者だった
或人(高橋)がサムいダジャレを言ってから「はい、アルトじゃーないと!」と正面を指差しながら締めるシーンは、イケメンが台無しな強烈な顔芸も添えることが多かった。
スベったギャグを「いまのは○○と××をかけた……」と秘書のヒューマギア(AI搭載ロボ)・イズ(鶴嶋乃愛/22)に解説されて「お願いだからギャグを解説しないでー!」と恥ずかしそうに或人が嘆くのも、お約束だった。
もちろん或人はヒーローらしくカッコいい姿も多いし、決めるときはしっかりと決めるのだが、動揺したりうろたえる場面はシリアス、ギャグ問わず非常に多く、それを演じる高橋の高い演技力もあって、或人は歴代主人公でも、特に余裕がない状況に追い込まれがちなキャラクターの印象が強かった。
茶髪と赤いパーカー、黒ジャケットというちょっと野暮ったいビジュアルも、或人の抜けている三枚目な雰囲気にマッチしていた。
令和ライダー第1弾「仮面ライダーゼロワン」主演は高橋文哉、主人公はAI企業社長https://t.co/qm5jvYnWum
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) July 17, 2019
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そして来年公開の実写映画『高木さん』で高橋が演じる西片も、考えていることがすぐ表情に出る、リアクションが激しい素直でちょっとおバカな男子。
いつもからかってくる高木さんに“からかい返し”でほくそ笑むも、あっさり返り討ちにされ、「高木さんめぇええ」と悔しがるのがお約束となっている。結婚後の『(元)高木さん』では多少改善されたが、高木さんと西片の力関係は変わっていない。
実写映画では多少のアレンジが入るかもしれないが、今泉力哉監督は高橋のことを「まっすぐで本当にいい方」と評しているうえ、西片の「実はあなたがヒロインなのですか、というかわいらしさ」を表現できていると絶賛しているため、高橋は、高木さんに見事に翻弄される姿を見せてくれることだろう。『ゼロワン』時代の演技を思い返すと、高橋にとって西片はハマり役になるかもしれない。
若手イケメン俳優は1度イメージが固定されると、どうしても正統派イケメンを演じる機会が増えがちだ。しかし、高橋はただのイケメンではないのだ。
実写映画『高木さん』には賛否あるだろうが、『ゼロワン』以来、久しぶりになる、頼りなく慌てる高橋に期待したいものだ――。