現在、韓国で猛威を振るっているのが「トコジラミ」だ。体長約5ミリ~8ミリの吸血性昆虫で、屋内に生息し、一度噛まれると、猛烈なかゆみが伴う。蚊などに刺された場合と違い、1か月以上症状が続くことも特徴だ。
「韓国では、コロナ禍が明けたことで海外からの観光客が急増。その観光客たちが、トコジラミを持ち込んでしまった。2014年から23年初めまで、毎年一桁台だったトコジラミの被害報告件数は、観光客の増加と比例する形で右肩上がり。韓国内の民間企業による報告では、23年10月~11月の期間だけで被害が300件を超すとの報告もあります」(韓国事情に詳しいフリーライター)
そんなトコジラミによる被害だが、海を越え日本でも広がっているのだ。11月22日にはX(旧ツイッター)上で、”大阪メトロの谷町線にトコジラミがいた”という旨の投稿が相次ぎ、大阪メトロが11月24日から全線・約1380車両を順次、掃除機で清掃すると発表した。
トコジラミは、人間や物に付着しながら生息地を拡大するが、現在、TikTokやXといったSNS上で関心を集めているのは「海外通販にトコジラミがくっついてくる」という報告だ。
「近年、若い女性を中心に、低価格でトレンドアイテムを取り揃える『SHEIN(シーイン)』や『Temu(ティームー)』といった中国系海外通販や、韓国最大の通販サイト・Gmarketから生まれ、韓国ファッションや韓国コスメに強い通販サイト『Qoo10(キューテン)』が大人気です。
『SHEIN』と『Temu』は海外からの発送。『Qoo10』には国内、海外両方のショップが出店しています。韓国でトコジラミが流行しているというニュースが連日報じられるなか、SNS上ではそうした海外系の通販が“ヤバい”と指摘する声も駆け巡っています。
真偽のほどは定かではないのですが……『SHEIN』で買った服からトコジラミが落ちてきた、という話を紹介したポストが11月にXへと投稿されると、3200万ビューと爆発的な話題になりました。
トコジラミに刺され、真っ赤な発疹が多数出現した皮膚の写真を公開する投稿もあることから、否応無しに“刺されたらこんなふうになる”という予防意識も高まっている。しばらくは海外通販の利用を控えるという人も出てきています」(トレンドライター)
1年~1年半の寿命で、一生の間にメス一匹が500個ほどの卵を生むというトコジラミ。繁殖が活発になるのは20度~25度という気温下だ。気密性が高く暖かい都市部の住宅内は繁殖条件が整っており、少しでも屋内に入れるとあっという間に増える。刺された時のかゆみは眠れないほどというから、戦々恐々とする声は後を絶たない。
「対策として、“荷物は外で開封”“梱包材はすぐ廃棄”“使用前に煮沸するか乾燥機に入れる”といった情報をまとめるポストが目立つようになる一方で、
《結局運搬中に日本の荷物と混ざって一緒になるから、通販全般気をつけなきゃならんよな》
《物流の現場で混ざりそう》
など、トコジラミが何らかの物体にくっついて運ばれるのであれば、海外通販だけの問題ではないのでは……といった心配の声も多数上がっています」(前同)
海外通販を筆頭に、通販はどのぐらい“危険”なのか。また、SNS上に出回っている“対策法”は本当に有効なのか。人と自然の博物館主任研究員で、兵庫県立大学准教授の山田量崇さんに話を聞いた。