■“トコジラミ対策”「煮沸・乾燥」は有効か

 海外通販を利用し、受け取る際にトコジラミが心配にならどうすればいいのか。

「まずできることは、“目視”での確認です。成虫なら体長が5ミリほどあり、かつ集合性があるので、なるべく白い場所で開けるとわかりやすいと思います。衣類であればポケットのような狭い隙間も入念にチェックしましょう。

 もし見つけたら、隔離するしかありません。数が少なければ市販の殺虫剤を使用してみてもいいと思いますが、耐性をもつ種も現れているとのことなので厄介です」(前出の山田さん)

 煮沸や乾燥といった“トコジラミ対策”は有効なのか。

「トコジラミは熱に弱いので有効です。ただ煮沸はなかなか難しいですし、60度から70度のお湯で十分。洗濯も水で窒息して死ぬので、有用でしょう。洗えないものは布団乾燥機の使用やドライヤー、スチーマーなどで熱を当てるという対策が現実的だと思います」(前同)

 山田さんによれば、「忌避剤や殺虫剤もこうすれば安心というのがなく、個々人で気をつけるしかない」のがトコジラミ問題の難しさ。極力対策をとったうえで、もし刺されたら速やかに病院に行くと同時に、駆除業者に相談するのが良さそうだ。

山田量崇
人と自然の博物館主任研究員、兵庫県立大学准教授。【専門分野】系統分類学、昆虫学、多様性生物学
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科 博士後期課程修了。博士(農学)。
【著書】日本原色カメムシ図鑑第3巻(分担執筆)、日本昆虫目録第4巻(分担執筆)ほか