■NHKの“乗り換え”に不満を抱いてもおかしくない

 AKB48の論客として知られ、日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表でもある芸能評論家の三杉武氏は、

「ありえない話ではないですね」

 と話し、こう続ける。

「今年は見送りになりましたが、旧ジャニーズ事務所は『紅白』と同じ大晦日に、東京ドームで事務所総出の年越しイベント『ジャニーズカウントダウンライブ』(通称『カウコン』)を行なっています。旧ジャニーズとしては、大晦日は『カウコン』が最も重要なイベントだった。そのため、これまではむしろNHKが“『紅白』に出てください”とジャニーズにお願いしていた、という背景がありますよね」

 1994年~2008年まで『紅白』出場のジャニーズタレントは基本的にSMAPTOKIOの2枠で固定状態だったが、2009年以降はジャニーズ枠が急増。毎年5~6グループは出場するようになり、2021年には過去最多の白組の出場アーティストの3分の1となる7組が出演する予定だった(Snow Manがメンバーのコロナ感染のため出場見送り)。

「『紅白』サイドは、将来のNHK視聴者を確保するために、そしてジャニーズは『紅白』を通じて、ファン層を広げるためにですが、“頼まれて”出ていた。ジャニーズが協力する感じだったでしょうが、持ちつ持たれつな関係だったわけです。

 ところが、今回の事情が事情とはいえ、NHKが一方的に旧ジャニーズを排除しましたよね。これには、さすがにSnow Manメンバーも思うところはあるのではないでしょうか。彼らは圧倒的なセールス結果も残していますしね。そして、単に出場させなかっただけではなく、露骨な“乗り換え”も感じさせますからね」(三杉武氏、以下同)

※画像は『NHK紅白歌合戦』の公式X『@nhk_kouhaku』より

 今年の『紅白』は旧ジャニーズタレントが出演しない代わりに、紅組白組ともK-POPアイドルが増えている。

 白組は13人組ボーイズグループであるSEVENTEENと、8人グループのStray Kidsの2組が初出場。

 紅組はTWICEの日本人メンバー3人のユニット「MISAMO」が初出場するほか、4年連続出場となる9人グループのNiziU、昨年に続く出場となる5人グループのLE SSERAFIMも参戦。

 5組に加えて、メンバーは全員日本人だが、K-POP系列にカウントされることがある男性11人グループJO1も加えると、計6組が『紅白』に出場することになる。