“レスキュー商法”という言葉をご存じだろうか。
トイレの詰まりや鍵の紛失、水漏れ、シロアリ・ハチ等の害虫問題。こうした一刻を争うような問題を解決しようと専門業者に依頼したものの、高額請求をふっかけられた――こうした依頼側にとって不安が大きく、かつ緊急を要する事案につけ込むビジネスを“レスキュー商法”と呼ぶのだ。
「国民生活センターや各自治体の消費者生活センターでも再三注意を呼びかけていますが、なかなかなくなりません。最近の“ブーム”は、韓国で被害が急拡大しているトコジラミを駆除します、と謳ったもの。悪徳業者と消費者の間でトラブルが絶えません」(住宅クリーニング事情に詳しいライター)
人体に付着しながら移動する体長5ミリ~8ミリ程度の大きさの「トコジラミ」は現在、韓国やフランスで猛威を振るっている。日本国内には海外からの配送品の箱に付着するなどの形で侵入しているようだ。11月22日にはX(旧ツイッター)上で、”大阪メトロの谷町線にトコジラミがいた”という旨の投稿が相次ぎ、大阪メトロが11月24日から全線・約1380車両を順次、掃除機で清掃すると発表したばかりだ。
ひとたび屋内に交尾済みのトコジラミのメスや、オスとメス両方が入り込んでしまうと、あっという間に繁殖。1年半ほどの寿命だが、メスは一生の間に500個ほどの卵を産むというのだから驚きだ。
「正直、集団化したトコジラミは一般市民の手に負えないというのが現状です」
そう語るのは、千葉県茂原市に本社を置き、全国8箇所で営業所を展開、害虫駆除業務を行なう想和ホールディングスの早川佳宏代表だ。
「トコジラミが最も活発に活動する温度は22~27度で、卵~成虫までにかかる日数は約45日。メスは1日当たり5、6個の卵を毎日のように産む。強い繁殖力を持ちます。
さらに今、蔓延しているのは、市販の一般的な殺虫剤に含まれている合成ピレスロイドに抵抗性を持つトコジラミで、“スーパートコジラミ”ともいわれる。殺虫剤に抵抗を持つトコジラミがどんどん増えているので、一度(トコジラミ被害が)広がってしまうと対症療法ではなかなか根絶は難しい」(前同)