■激増している電動キックボードの事故

 前出の全国紙社会部記者が続ける。

「電動キックボードはその手軽さが魅力で、都市部を中心に一気に普及している最中です。ただ今回の法改正により、”電動キックボードがすべて免許不要になった”と思い込んでいる人は案外いる。免許が必要だと知っていたとしても、その運転のしやすさから、いわゆる原付より圧倒的に気安く乗れてしまうのも現実です。

 またルールもよく分かっていない人が多く、飲酒運転をしてはいけないことを知らず、飲み会の後にシェアリングサービスの電動キックボードで自宅まで帰るという人も結構いると聞きます」

 警察庁の発表によれば、23年7~10月の全国での電動キックボード関連の検挙件数は7月が406件。以降8月692件、9月923件、10月1383件となっている。法改正後は、毎月前の月の1.5倍という勢いで検挙件数が増加しているのだ。

 7~10月の検挙件数合計3404件の内訳は、電動キックボードが走行可能な場所を通行していないといった通行区分違反が1495件で最も多く、次いで信号無視が1355件。他にも一時不停止288件、歩行者妨害96件、その他170件が記録されている。

 酒気帯び運転も16件確認されており、電動キックボードに乗っていながら、交通ルールを無視する人が多いことがうかがえるデータである。