■年間100億超えの売上を見込めるサブスクに目を向けるのは当然

 芸能プロダクションの独自サブスク――たとえば、LDHは独自のサブスク『CL』を運営している。所属タレントのオリジナル番組やライブビューイングなどのコンテンツが楽しめるサービスで、月額1100円(税込)でプレミアム会員になれる。

「会員数は公表されていませんが、2020年8月のプレオープンから1か月半で有料会員数は10万人を超えていることは判明しています。その時点で年間の売り上げが“1100円×10万人×12か月=13億2000万円”ですよね。

 LDHのグループの人気を考えると、現在の有料会員数はもっと多いはず。会員数30万人だとしたら、年間の会費は総額は約40億円。そして、旧ジャニーズのサブスクならその数は跳ね上がるでしょう。加入者100万人超はリアルな数字と考えられる。100万人なら132億円――福田新社長が経営者としてサブスクに目をつけるのは、当たり前のことなんですよ。

 STARTO社は、まだ経営が不安定。安定した収益を取りにいくのは、当然のことだと思われます」(前出の芸能プロ関係者)

※画像はLDH Records Officiaの公式X(ツイッター)『@LDH_Records』より

 12月12日配信の『スポニチアネックス』は、福田氏が都内のテレビ各局をあいさつ回りし、資金の窮状を訴えたと報じた。STARTO社に必要な資金は「人件費などを含めて必要な資金は10億円ほど」(関係者)ともいわれる。STARTO社にとって独自サブスクは、会社の屋台骨を支える大きな事業となるだろう。

 だが、レコード会社関係者はこう話すのだ。

「STARTO社が立ち上げるというエンタメのサブスクですが……すでに大きな壁がありますね。『Weverse(ウィバース)』という韓国のファンコミュニティプラットフォームが、ものすごい勢いで世界的にシェアを広げていて……STARTO社が年間100億円稼いでも太刀打ちできないだろう、という“桁違い”の規模になりつつあるんです」

『Weverse』は、韓国の総合エンターテインメント企業HYBEと、インターネット企業NAVERが共同で出資するテクノロジーカンパニーが運営しているサービスだ。

※画像は『Weverse』の公式X『@weverseofficial』より

「HYBEの系列会社には、BTSSEVENTEENなど多くの世界的なK-POPアーティストが所属している。そのため、世界中の彼らのファンは『Weverse』を利用しています。ここまではLDHの『CL』や旧ジャニーズのファンクラブに近い感じもしますが、特筆すべきなのは2つ。

 1つは、VERIVERYなど、HYBE系列の事務所に所属していないアーティストも、『Weverse』に名を連ねていること。もう1つは、K-POPだけではなく、日本人アーティストも今年に入ってから多く加入していることです」(前同)