■再生されまくっても全く儲からない「TVerの大問題」

 しかし、メディア・コンテンツ事業において、株式会社フジテレビジョンは、

《地上波テレビ広告収入の減少が響き営業損失を計上》

《物価上昇の影響等によるテレビ広告市況の悪化や視聴率の苦戦により主力の地上波テレビ広告収入が振るわず、放送・メディア事業は減収となった》

 と、“本業”でマイナスを明らかにしている。

「『すき花』はドラマ好きの間では評価が高く、TVer・FODの第1~7話までの見逃し配信における総再生数は2500万再生を突破しています。お気に入り登録数も、12月14日時点で147.9万人。ほぼ150万人です。

 間違いなく人気はあるのですが、見逃し配信でいくら数字を伸ばしても、テレビ局は広告単価の問題で全く儲からないんですよね」(芸能プロ関係者)

※画像はフジテレビュー!の公式X『@fujitvview』より

 フジテレビに限らず、TVerはCM単価が地上波の10分の1程度だと言われている。いくらTVerで人気でも、リアルタイムで視聴率が取れなければカネにならないため、テレビ局サイドは全く喜べないということだ。

「TVerでは稼げないのに、ドラマ好きな人はリアルタイムではなく、自分の時間でゆっくりと楽しめるTVerで楽しむ人が多い。それなのに、TVerのCM単価はあまりにも低い。そのため、『すき花』も作品評価は相当高いのに全く儲からない。儲からないから、局は新しい挑戦ができないし、制作費もどんどん削減されていく。それで作品のクオリティが低下していき、視聴者がより減っていく――そうした完全な悪循環に陥っています。

 今はTVerは、“〇百万再生しました!”などと謳う宣伝ツールに過ぎない感じになってしまっていると。TVerが儲からないのは、テレビ局を壊滅に追い込む大問題です。全局で、広告代理店、スポンサーサイドと取り組んでいくべき大課題。

『すき花』の評価の高さと、裏腹の収益の少なさは、現在のテレビ界の苦しさを如実に表していると言えそうです……」(前同)

 今や、“家にテレビがないけどTVerでドラマやバラエティを楽しんでいる”という人も珍しくない。テレビ界は今、大きな転換期を迫られている――。