■単調な物語はなぜ生まれた?

 しかし、一方で視聴率は伸びていない。それについては、《この4人の関係はあまりにも温かいのだけれど、世間が世知辛く描かれ過ぎていて観ていてつらいのよね。この4人は出会えたから良いものの、これを一人で観ている少なからぬ人たちは、この世知辛さの中を孤独に耐えていかねばならないのよ》《主人公たちが、いかに繊細でかわいそうかを表現するため、まわりの人が無神経で嫌な奴に描かれてるのが無理》などの批判の声から原因が推測できる。

“世間が世知辛く描かれすぎていて”とあるが、たしかに4人が集うようになってから、それぞれが他者への違和感を確認し合うシーンばかり続いている。美鳥(田中麗奈)が登場し、4人の関係に何か変化があるのかと思えば、結局は4人のスタンスを再確認しただけで去ってしまった。

 また、今回の居酒屋シーンで登場した紅葉(神尾)のバイト仲間など、4人に絡んでくる人物が“嫌な奴”のままで最後まで来てしまった。メインの4人が変わらないだけでなく、周囲の人物も結局、変わっていないのだ。この変化のなさは、今期、注目度を超えるヒット作となった『セクシー田中さん』(日本テレビ系、日曜夜10時半)が、メインキャラ以外の成長、変化をしっかり描いているのと、大きく違う。

 要するに、全体を通して変化が乏しいのだ。熱心なファンは4人の世界観に共感しているので気にならないだろうが、一般視聴者にとっては退屈、単調に感じるかもしれない。そこまで熱心ではない、一般視聴者が多い視聴率の低迷は、そこにありそうだ。