■生理痛軽減で知られる「低用量ピル」もともとは避妊目的の薬

 緊急時に避妊目的で女性が服用する『緊急避妊ピル』と、日常的に服用することを目的とする『低用量ピル』の違いはなんなのか。服用する側である女性からは、こんな疑問の声が上がっている。

「生理痛がひどく、それを楽にしてくれるという低用量ピルを飲もうか検討中です。そうした低用量ピルを日常的に飲む人も、緊急事態があった場合は緊急避妊ピルを飲むべきなのでしょうか?」

 これに対し、女性の健康課題について発信を続けている産婦人科医で、丸の内の森レディースクリニック院長である宋 美玄氏は「毎日飲むタイプのピル(低用量ピル)を飲んでいる人は、飲み忘れがなければ緊急避妊ピルは飲まなくてよい」と話す。というのも、今でこそ生理痛などの改善で知られる『低用量ピル』だが、もともとは”避妊”目的の薬だからだという。

 宋医師に、『低用量ピル』と『緊急避妊ピル』の違い、それぞれの懸念材料などについて詳しく話を聞いた。

「薬に含まれるホルモン量の少ない低容量ピルは、最近は生理痛の改善や生理不順で服用する人も多くなりました。日本で認可されたのは、1999年。当初は避妊用でした。その後、08年に低用量ピルの副効用として生理痛減退や、経血量の減少が確認され、月経困難症の治療のための保険適応治療薬としても認可されたという流れです」

 医師の診察を受け、”病気の治療”と判断・処方された場合は健康保険が適用されるが、避妊目的や生理不順、月経移動の場合は保険適用から除外される。そんな低用量ピルの避妊効果はいかほどで、副作用などはあるのだろうか。

「低用量ピルは基本、毎日飲むものです。飲み忘れがないなど理想的な服用方法の場合、避妊に失敗する人は100人中0.3人とされています。

 副作用は、“うっとうしい副作用”と”怖い副作用”があり、うっとうしい副作用は吐き気、頭痛、不正出血など。怖い副作用は、服用者の血が固まりやすくなり、血栓症や高血圧のリスクが高まる点が挙げられます」(前同)