■家族問題評論家が東京都と民間のアプリの差異を分析

 アプリ婚のメリットと懸念点について、『結婚の学校』(幻冬舎)などの著書がある家族問題評論家の池内ひろ美さんは、「最大のメリットは出会いの機会が増えること。懸念は、利用者がウソをつきやすいこと」と指摘する。

「民間のアプリでは利用に際し、顔写真付きの身分証明書を利用して、年齢がわかる本人確認程度しかしないところも多い。当然、アプリ上のプロフィールに記載されている職業や年収が真実かどうかまで、閲覧者側からは判断できません。学歴や身長だって、すべてが自己申告。簡単に“盛れ”てしまう。

 また利用者に独身証明書を提出させるアプリも少なく、単に異性との出会いを求めて登録する人も多いんですね。既婚者でも登録ができてしまいますし、本気で結婚したいという人にとっては、相手が本当に独身者なのかも含めて、常に“リスク”があるということです」

 一方で、都が今後運営するというマッチングアプリでは、利用者の“ウソ”が極力少ないことがメリットだと池内さんは話す。

「行政が運営するわけですから、安心・安全が売りになります。当然、サービスに登録する人は結婚への意識も高いでしょうし、異性との単純な出会いを目的とした“遊び”の方は少ないでしょう。利用者は、真面目な方が多いと思いますね」

 また、民間のアプリでは起こりがちな、男女間のトラブルに巻き込まれるリスクも少ないのでは? と池内さんは指摘する。

「民間のアプリだと、真剣な恋愛に発展しないリスクがあるだけでなく、男性にとっても美人局や悪徳商法を目的としてアプリに登録した女性と遭遇する危険があるとは聞きます。気になる女性とデートしていたら、別の男の人が現れて、”人の女に何してるんだ”と、脅されて半ば強制的にお金を巻き上げられた、といった事例も耳にしますね。

 都が運営するということで、利用者の身分証明は厳密になされているはず。利用者同士の男女間トラブルに発展するリスクは低いでしょう。異性との刺激的な出会いを求める人は民間のアプリ、堅実に結婚相手を探すことを目的とするという人は、都が運営するアプリを利用するのが良いのだと思います」