■都のマッチングアプリ、民間との「大きな違い」は?

「民間にはすでに多くの婚活サービスがあります。しかし、利用する側からすると、何から始めたらいいのかわからないなど、ハードルが高いという人もいらっしゃるのが現実かと思います。

 都ではこれまで婚活をする人向けに、交流イベントやセミナーを開催してきました。しかし、それにもなかなか参加できなかったような方に向けて、“やってみようかな”と思っていただける婚活サービスを提供しようということで、マッチングアプリシステムが発案されました」(前出の須山さん)

 背景には、マッチングアプリが常識となりつつある社会情勢があることも見逃せないが、都が提供するマッチングアプリサービスには民間企業の提供するサービスとは明確に違う点がある。具体的に言えば、登録時に利用者に対し、「写真付き本人確認書類」に加えて「独身証明書」と「年収を確認できる書類」の提出を求める点だ。

「民間のアプリはやはり“気軽さ”が売りです。そのため、『独身証明書』を登録時に必須としているサービスは少ないのではと思います。都が提供するサービスは、民間サービスでの出会いに不安がある方に使っていただくことを前提としているので、“安心”という点に重きを置いています。年収欄を記載するにあたっては、源泉徴収票など利用者の収入が証明できるものの提出も登録時には必須です。

 AIマッチングの活用については、登録時に価値観診断テストを受けていただいて、自分の価値観と相手に求める価値観をベースに、相性の良い方をAIが自動で紹介していくというものです。もちろん、アプリ内で自分で相手を検索することもできます。また、並行してウェブ相談を行なっていることも特徴の一つです」(前同)

 ウェブ相談では、初対面の人とのコミュニケーション方法や、デート時に気をつけるべき点などのアドバイスを専門の相談員からもらうことも可能だという。須山さんは「都のサービスを使わない人たちにとっても、婚活市場が活性化する一助になれば」と話す。