■なぜ『SHEIN』購買層はパクリ商品を買うのか

“パクリ商品”が横行している『SHEIN』に対しては、《安くても利用したいとは思わないな》《ぱくり多いし可愛いけど買う気しないよね、、、、》などと厳しい目で見る消費者がいる一方で、《絶対パクリだけど買いました》と、「わかっていて買う」消費者が存在するのも現実なのだ。

『SHEIN』の利用者にも多いZ世代は、パクリ商品をどう捉えているのか――。マーケティングアナリストで次世代若者研究の第一人者、原田曜平氏に話を聞いた。

「僕の研究所でインターンをしている15名の大学生たちにも話を聞いてみました。するとZ世代のなかでも考え方は分かれるものの、基本的に“パクリ商品はあり”と考えている人が多いようです。

 パクリ商品の購入を“あり”だとする側の意見で目立ったのは、トレンドのデザインの商品を手に入れる時の“コスパ”でした。質が粗悪であることをわかっていても、トレンドだから来年まで持たせようというつもりもない。買い物をする時に重視するのは、トレンドであることと価格の安さであり、それがパクリかどうかは特に意識していないといいます。

 仮に、何か気になるデザインのバッグがあったとしますよね。それを『SHEIN』のなかで画像検索するんです。するとあっという間に似たデザインが大量に見つかる。手軽に安くトレンドの商品を手に取れるというわけです」

 さらに元のブランドが展開する商品よりも、『SHEIN』で販売されている商品の方がカラーバリエーションが豊富なことも多く、“見た目”重視の購買層には「選択肢の多さ」が魅力に映るのだという。

「加えて、それを周囲の友人も使っていると、パクリ品をあまり悪いとも思わない心理が働きます。昔もパクリ品はありましたが、SNSで多くの情報を得るようになった今、同調思考が生まれやすい。“みんなが持っているからOK”と、パクリ品を手にすることに抵抗がない若者が増殖しやすい環境が整っている。

 情報にあふれた結果、自分ならではのこだわりがなく、インフルエンサーが持っているものをそのまま買ってしまったり、ブランドを見極める目も育たないうちに、“質よりも見た目が気に入ったらいい”とパクリ品を買ってしまうのでしょう」(前同)