■『なに食べ』から料理を消そうとした局も

 昨年10月クール、NHKでは男女逆転時代劇『大奥』を、テレ東では西島秀俊(52)と内野聖陽(55)のダブル主演ドラマ『きのう何食べた?』が放送されていた。

※画像は『きのう何食べた?』の公式X『@tx_nanitabe』より

 この2作はオリジナル展開やドラマ向けのアレンジも含めて評判が良く、

《最近だと、NHKの大奥やテレ東のきのう何食べた?は本当に素晴らしかったのに(どちらもよしながふみさん原作だ)結局は、作り手の腕次第なんだと思う。丁寧に作ることはできるはず》
《原作の世界観を壊さず、原作からのファンの気持ちも大事にしているドラマ「きのう何食べた」は改めて素晴らしい作品だなと思う。漫画ファンとしても「ここ拾ってくれたんだ」とかすごくわかる》

 といった高評価の声が、SNSにも多く寄せられているのだ。

 実は、『きのう何食べた?』の実写ドラマ化においては、テレビ東京以外の局からもドラマ化のオファーが来ていたが、別の局では「食べ物や料理の話を入れられない」と言われたという。よしなが氏が「そこを省いてゲイのカップルの問題を社会派的に取り上げるのも違う」(2019年『AERA dot』)と、感じていたこと、その上でテレ東はしっかり原作通りに作ったことなど、過去の作者インタビューからも、テレ東の原作への理解の高さが伝わってくる。

「”何食べた”という題なのに、料理の話を描かない――それはどう考えても無理がありますよね。それに対して、テレ東とNHKもとにかく原作ファーストで、そのうえでしっかりとドラマ向けにアレンジしている、ということです。

『きのう何食べた』『孤独のグルメ』、そして『大奥』も、キャラのビジュアルは原作とさほど似ていません。『孤独のグルメ』なんて当初はそれで批判されていましたからね。

 それでも広く支持されているのは、原作の大事な部分を外すことなく、原作をリスペクトして実写化しているからでしょう。『セクシー田中さん』に限らず、原作者から苦言を呈される実写作品は、そこを失敗していることが多い印象を受けますね……」(前出のテレビ誌編集者)

 漫画原作の実写ドラマ化で評価されるテレビ東京とNHK。今後の実写化作品はこの2局に集中するのかも。