■西武の清原ではなくPL? なぜ『ビー・バップ・ハイスクール』が出てこない!?

 また作中に織り込まれる小ネタにも時代とのズレが見られたという。

「純子たち女子高生が“PL(学園)の清原(和博)と桑田(真澄)どっちがいい?”という台詞がありましたが、86年の冬はすでに2人ともプロ1年目のシーズンを終えています。清原に至っては、新人記録となる31本のホームランを放って新人王を獲得するほどの大活躍。むしろ、清原と言えばPLではなくすでに“西武の清原”でしたね~。

 また好きな男性のタイプとして尾美よしのりさん(58)の名前が上がるのですが、その際にも代表作として80年公開の映画『翔んだカップル』や83年公開の『時をかける少女』が出てくるのも少し古いなと。

 純子たちは制服の上にスカジャンを羽織ってタバコを吸うヤンキー設定。やっぱりそこは、85年〜88年までブームを起こした『ビー・バップ・ハイスクール』の作品名が口から出て、その話題で盛り上がるのが自然な気がします」(前出のベテラン芸能記者)

 と、昭和世代からの少々手厳しいツッコミが入ったが、まだ終わりではない。初回放送を食い入るように見つめたというベテランスポーツ紙記者も「ドラマ内で販売されているハイライトの値段がおかしかった」と苦笑する。

「阿部さん演じる主人公が現代から昭和に1度戻ってきた際、“ハイライトっていくらだっけ?”と聞くと“170円”と返ってくるシーンがありました。一方、ヤンキー娘・純子の部屋にはインスタントカメラの写ルンですが置いてあるのですが、写ルンですが発売されたのは86年7月。細部にこだわっていますが……」(前同)

 86年という時代設定を強調するためか、ドラマ内では86年5月に発売されたアーケードゲーム『熱血硬派くにおくん』をプレイするシーンも描かれる。だが、

「実は、ハイライトは86年5月に170円から200円に値上がりしているんです。ドラマの舞台である86年の冬には、ハイライトはすでに170円ではない。“惜しい”と感じましたね(笑)。作品の構成上、ハイライトが170円である必要はないはず。

 ドラマは非常に面白いだけに、昔を生きてきた人間からすると、ちょっと時代考証が甘いなと感じられてもったいないな、という印象ですね」(同)

 令和となった今、小道具まで完全に再現することは難しい。とはいえ、昭和のリアリティを描くのであれば、時代考証だけでも徹底的にしないと、現代の厳しい視聴者から”不適切”の烙印を押されてしまうかも。