■圧巻の映像美と劇場版ゲストも集結の画の強さ

『キングオージャー』大バズりの理由の1つは、映像の迫力。『キングオージャー』を制作している東映は、2022年10月に東京撮影所に「バーチャルプロダクション部」を設立し、大幅な技術革新の第一歩としてLEDウォールを導入している。

 LEDウォールは乱暴に言えば超高性能の書き割り(背景などを平面的に描いて置かれる大道具)のような装置だが、これにより従来の戦隊の課題だった“最終決戦のロケ地がいつも似た場所”問題を解消し、迫力ある画が撮れるようになったのだ。

 そして、その映像美のポテンシャルを最大限に引き出した要素の1つが、本作のシナリオにある。

 本作は、メインの王様戦隊だけではなく、彼らを慕う側近と、六王国それぞれでビジュアルが全く違う大勢の国民たちがいる。

 当初、キングオージャーは、強大な敵の力を恐れ、側近と国民を一時避難と偽り、全員を宇宙へ亡命させるつもりだった。しかし、その計画が国民に伝わり、国民全員が最終決戦に参戦することに。これだけでも王道の熱い展開だが、さらにもう1つ、特大のサプライズが用意されていた。

『キングオージャー』の世界には「ハーカバーカ」――いわゆる「死後の世界」が登場する。昨年8月公開の劇場作品『アドベンチャーヘブン』の舞台だったが、最終決戦では宇蟲王・ダグデドと幹部・カメジムを討つべくこれまで登場してきた故人が一時的に復活し、キングオージャーに加勢したのだ。本作は通常ならオープニングでキャストクレジットが表示されるが、第49話はオープニングがカットされており、完全なサプライズだった。

※画像は佳久創の公式X『@so_kaku』より

 人気声優の佐倉綾音(30/今回は顔出し出演)、雛形あきこ(46)、声のみだが中村獅童(51)――劇場版の豪華キャストが、再登場したのである。

 彼ら以外も本編開始前に殺害されてしまっていた「王の双肩」の片割れ・ボシマール(福澤重文/47)、前半の悪役だったが、同時に歴史の被害者でもあったデズナラク8世(声:志村知幸)などなど多くの登場人物が活躍し、非常に重厚な演技を見せてくれたのだ。