■出張族が座れない問題が発生中

 JR東日本が運行する新幹線にもお得に乗車できる『キュンパス』を利用した50代男性はこう語る。

「きっぷが発売された1月14日の夜に仙台駅までの指定席を『キュンパス』で予約したのですが、その段階で東北新幹線の早い時間帯の下りと遅い時間帯の上りの便は指定席が8割がた埋まっていましたね。

 東京駅~新函館北斗駅間を結ぶはやぶさ号は全車指定席制なのですが、私が乗った朝9時台の便やその前後はグリーン車含めて全席満席。そのため、急に出張をすることになったと思われるビジネスマン数人が、立席でパソコンを広げて仕事をしている状況で申し訳ない気持ちになりました」

 東京駅から新青森駅区間は新幹線を利用すると通常片道1万7670円。場所によっては『キュンパス』は片道だけでの利用でも十分に元が取れる。そんな中、よりお得に旅を楽しむためにも青森弾丸日帰り旅をする人も多かったようだ。

「ふだん新青森駅で下車する人の多くはキャリーケースを持っているのですが、『キュンパス』開始後はリュック1つなど軽装な旅行客が増えましたね。多くの方が『キュンパス』を日帰り旅に利用しているのでは」(利用者のひとり)

 東京発なら6時32分発の始発を利用しても、新青森駅に到着するのは9時49分。新青森駅から東京駅へと向かう終電の発車時間は19時44分とあり、日帰りなら最大でも青森県内での滞在時間は10時間ほどだ。

 短時間での滞在となることも関係してか、駅周辺の観光施設には観光客が集中しているという。実際に青森県内へと『キュンパス』を利用して訪れたという、20代の女性によると、

「『キュンパス』勢が殺到するのは分かっていたので青森駅から徒歩10分ほどの場所にある青森魚菜センターに14時過ぎに行ったのですが、名物である海鮮丼ことのっけ丼の食券購入に20人以上が並んでいてビックリ。以前、平日に訪れた際はお昼の時間帯以外ならのんびり食事を楽しめたんですけどね」

 と、その盛況ぶりに目を丸くする。

大賑わいの青森魚菜センター 写真/編集部