■スタバが入口 SNSでの“映え”で若者も

 健康志向以外に、抹茶アイスの魅力には何があるのか。

「ほろ苦くて甘すぎない味わいの抹茶アイスは、アイスの中でも別格。“大人”の時間を嗜み、上質な余韻に浸れます。そもそもの茶葉が高額な“抹茶”というところに高付加価値を感じやすいポイントがあり、どこそこのお茶屋さん監修というようにブランド価値も加味される。幸福度が上がるフレーバーだと思います」(前出の荒井氏)

 若い世代にも抹茶味は人気がある。荒井氏によれば、「若者の舌に合うような抹茶アイスを各社が開発している段階」だという。

 見逃せないのは、スターバックスコーヒーやタリーズコーヒーなど、若者もよく行くコーヒーチェーンが抹茶味のフローズンドリンクやラテなどを展開していることだ。そうしたところから、抹茶味の体験をする若者も少なくない。

「アイス業界の指標に、スターバックスがあります。スタバが白桃やメロンのフラペチーノを出して売り切れになると、その後どこかのメーカーから白桃やメロンを使ったアイスが必ず登場する。スタバの商品で、若者に人気があるかどうかの指標を図ることができるんです」(前同)

3月1日からは、「花見抹茶 クリーム フラペチーノ」が登場(トールサイズのみ、テイクアウト税込668円・イートイン税込680円) ※画像はスターバックス コーヒーの公式X『@Starbucks_J』より

 そして、若者といえばSNSだ。

「抹茶アイスは、背伸びをして、大人の味をたしなんでいる自分をSNSでちょっと見てほしいというお年頃のニーズにもぴったり。あと、“色”もあると思いますね。私の経験上、SNS上で“白いもの”って閲覧数などの数字を取らないんですよ。でも色のついたものって、白いものより格段に見てもらえる。緑色が美しい抹茶アイスも、絶対に“引き”があるんです」(同)

 荒井さんは、今後の抹茶ブームについて、「ますます“本格派”を売りにする商品が続くのでは」と予測する。

 さまざまなものが値上がりしている昨今、同じお金を出すなら高付加価値で満足感を得られる商品という観点からも、各社抹茶フレーバーの開発にますます力を入れそうだ。