■大谷選手は「誰も悪者にならない会見をした」
大谷選手がプライベートとプロアスリートとしての活動を分けたいのは明らかだろう。ドジャースの監督ですら大谷選手の結婚を報道で知ったほどだ。
「ただ、ここで自分が何もしゃべらなければ日本メディアは引っ込みがつかなくなる。ぶら下がり会見でも大谷さんはあまりしゃべってはいないですが、最低限のことはしゃべっている。本当はメディアは“嫁さんは有名人なんですか?”というのが聞きたい。ただ、大谷さんは“普通の方です”と答えるなど最低限の対応は見せているわけです。余計なことも言わないですよね。
そして、その理由も“皆さんがうるさいので(笑)”、“プロポーズの言葉は?”という質問にも“ええ、まあ普通に言いました。今、あえて言う必要はないと思います”と、これ以上はしゃべらないよという意思表示もしていますし、“野球に集中したいなっていうのが一番です”とその理由も話しています。
大谷さんは最低限のメディア対応をしっかりとしたわけで、これ以上、メディアが騒ぐとメディアのほうが騒ぎすぎとなり、世論からメディアが非難を浴びる可能性が高まりますよね。誰も悪者にならない、皆が納得する会見を大谷さんはしたわけです。人とのやりとりが非常に上手な人ですよね。
これは一朝一夕でできるものではありません。日頃から自分とやりとりをしている番記者と上手な距離感が取れているから、このような会見もできるわけです。たぶん、“この記者はこう答えれば喜ぶな”とか、“何となくニュアンスが伝わるだろう”という部分まで見えてるんだと思います」
大谷選手が日頃から番記者と良好な関係、良い距離感を保っていることがうかがえる会見になったのだ。
「そこが羽生さんとの違いでしょうね。羽生さんは引退会見のときにも週刊誌の記者に対して嫌みたっぷりに“いい質問ですね~”と返したりと、記者に対して高圧的。メディアに対して自分の言いたいことだけ伝えるタイプですよね。メディアは伝書鳩であり、メディアとギブアンドテイクの関係を築こうという考えは持っていない人に見えます。
大谷さんは普段から周囲の番記者などのことを考えてギブアンドテイクの考えを持っている人。2人とも大スターですが、2人のメディアに対する考え方の違いの差が出たのかなと、大谷さんの会見を見て思いましたね」
大谷は囲み会見の翌日、3月2日に配信されたスポーツ総合雑誌『Number』のインタビュー(一部抜粋で全文は3月7日の雑誌に掲載)では、さらに新妻のことを語っている。信頼するスポーツライターから、お相手女性に作ってもらって美味しかった料理を聞かれ、《彼女としては作るのが難しい料理を言ってほしいんでしょうけど……へへへ。僕はカレーがやっぱり美味しかったですね》などと新妻の人となりを明かしている。
自らの活躍や現状の思いを伝えてくれるメディアとの距離感――その塩梅はスポーツ選手にとってはとても重要、かつ難しいものなのだろうが、大谷選手がそれに非常に長けていたのは間違いなさそうだ。