■大阪のたこ焼きに慣れた人が受けた「銀だこ」の衝撃

『銀だこ』に代表されるたこ焼きチェーン店の合理化は、「皮の厚さ」と「大きさ」にも大阪のたこ焼きとの違いをもたらした。

 薄皮・小さめの一口サイズで、ともすればすぐにべちゃっとしてしまいそうな大阪のたこ焼きに比べ、皮が分厚く、直径4センチのピンポン玉よりも大きな『銀だこ』のたこ焼きは、大阪人にとっては衝撃だった。なぜそうした違いが生まれたのか。前出の熊谷さんが解説する。

「油をかけるため、銀だこさんのたこ焼きは皮が分厚くなっています。一方で、大阪の人は薄皮で、中がトロッとしているたこ焼きに馴染みがある。もともとたこ焼きは外がカリッと、中がトロッとしているのが特徴ですが、油をかけたたこ焼きは、大阪の人からしたら”カリッ”を通り越して“バリッ”というレベル。その食感は新鮮でした。

 また、もともと大阪に伝わっていたたこ焼き器は鉄でできた鋳物(いもの)で、伝統的に口径が大体38ミリ。私は一口で美味しくいただけるのがそのサイズだと思っています。ただ口径を大きくすると、見た目は大玉で映えるうえ、当然一回に鉄板で焼く個数は少なくなり、店員さんがたこ焼きをひっくり返す手間は減らせる。調理時間の短縮につながるという“メリット”が生まれますよね」

『銀だこ』では、たこ焼きを焼くのに不慣れな新人店員さん向けにと、製造過程で一部の工程を振動でサポートする機器を採用している店舗もある。この機器を調理に使用することで従来25分ほどの時間が必要だったたこ焼きの焼き上げが、10分ほどで可能になったそうだ。

ちなみにたこ焼きにマヨネーズをかけ始めたのは大阪の老舗たこ焼き店「甲賀流」なのだとか ※画像は「甲賀流」の公式X(旧ツイッター)『@kougaryu1974』より