■現実の議員事務所は「4人で密&フルオープン」

 現役議員秘書である神澤氏から見ても非常にリアルなドラマである一方で、やはりフィクション。エンターテインメントドラマを作るにあたっては、どうしても「ツッコミどころ」を感じてしまう部分もあるという。

「あくまでエンタメ作品だし、仕方のない部分ではあるのですが、当事者としては“んん?”と思う部分はあります。

 細かいところはさまざまありますが、一番のツッコミどころは、主な舞台となっている議員事務所ですね。あんな広い事務所はないですね~。ちょっと羨ましいです(笑)」

 鷲津が所属している犬飼大臣の事務所は、所属秘書と犬飼大臣ら6人が揃っていてもゆとりのある、広い事務所。これは、実際では見られない光景だという。

「議員事務所はあんなに広くない。4人でギュウギュウになるくらい狭いです。

 もし実際の事務所を撮影に使うなら機材とかも入るし、狭すぎて劇中みたいなシーンは撮れないでしょうから、こればかりは仕方ないことですけどね。あんな広い部屋はいいなぁ、と(笑)。

 あと、『罠の戦争』ではチャイムを押してから事務所に客が入ってきますが、あれも実際とはかなり違いますね」

 どこが現実と違うのかーー?

「まず、ドラマの“チャイム”は普通のマンションの“呼び出し音”ですよね。自分が住んでいるマンションと同じ、という方もいるのではないでしょうか。

 そして、そもそも“チャイムを押す”という行動そのものが実際の永田町ではない。実際の議員事務所の場合、基本的にドアは常に開けっ放しにしてあるんです。来客の際に、わざわざドアを開けることはしないんですよ。いろいろと秘密がありそうな麻生太郎衆議院議員(82)の事務所でさえ、平時はフルオープンですからね(笑)。

 仮にドアが閉まっていても、関係者ならチャイムは押さずにノックをして入室します。だから、マンションみたいなチャイムを鳴らしてから入室しようとする描写には違和感がありますね。

 そうそう、マンションといえば、主人公の鷲津が住んでいるマンションについても、違和感がありますね」