Z世代を中心に根強い支持を得ている「昭和レトロ」「平成レトロ」といったレトロ回帰ブーム。その証左か、昭和の中学校体育教師が令和へとタイムスリップしてハチャメチャ騒動を巻き起こす阿部サダヲ(53)主演のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系、毎週金曜日夜10時から)も、毎回大きな話題を呼んでいる。

 若者文化や流行の最先端に詳しいトレンドアナリストの太田まき子氏が解説する。

「レトロブームが注目されたきっかけのひとつになったのが、街中にある純喫茶。コーヒーチェーン店にはない、クラシカルな内装によるレトロで優美な雰囲気や、ナポリタン、クリームソーダといった定番メニューの可愛さが若者には新鮮に映り、“映える”とあってSNSを通して人気を集めました。2023年11月にはTBS系の人気番組『マツコの知らない世界』でも『若者が熱狂!昭和レトロ喫茶店の世界』が特集されましたね」(太田氏)

 この昭和レトロ喫茶の人気は、他の飲食・外食産業にも波及しているという。

「大手コンビニは昭和レトロな喫茶メニューに着目し、22年にはローソンが『プリンアラモード』を、セブンイレブンも『濃厚卵のレトロプリン』を期間限定で発売(すでに発売終了)。ファミリーマートも23年10月に『喫茶店のレトロプリン』(185円、税込・以下同)を再販しています。

 また昔ながらのパフェが“昭和パフェ”として人気が高まっていることもあって、ファミレスの老舗チェーン・ロイヤルホストは今年1月に“懐かしさ”をキーワードにプリンパフェの新シリーズ『苺~Sweet Strawberry 1st season~』を投入。好評につき3月13日から第二弾が発売されています」(前出の太田氏)

 ファミレスにも「昭和レトロ」の波は押し寄せているといえそうだが、ここにきて全国141店舗を誇る有名アパレルブランドがファミレスとの異色のコラボを果たした。

「25~35歳の男女をターゲットにしているファッションブランド・ニコアンド(niko and ...)が、日本で創業50周年のファミレスチェーン・デニーズとコラボ。コラボ商品はシャツや雑貨などになりますが、ニコアンドは、先日もファミリーマートとホワイトデーギフトで組むなどコラボが活発ですが、今度のデニーズとのコラボは、“大人にはどこか懐かしく、若者には新しい”をテーマとしており、レトロなビジュアルが注目を集めているんです」(前同)

画像は『niko and ...』公式インスタグラム『@nikoand_tools』より

■デニーズ1号店のメニューを活用して「昭和レトロ」なデザインに

 デニーズ創業50周年を記念したコラボ企画ということもあって、1974年4月に神奈川県横浜市のイトーヨーカドー上大岡店内にオープンしたデニーズ1号店をモデルに、往年のデニーズの世界観がデザインには落とし込まれている。

 胸元のポケットにレシートのグラフィックが縫い付けられた『デニムシャツ』(7150円)や、デニーズの看板メニューでもある『とろ~り卵とチーズのオムライス』と『アメリカンクラブハウスサンド』がバックプリントされたヴィンテージ風の『Tシャツ』(4950円)のほか、1号店で実際に使用されていたメニューブックがデザインとしてあしらわれた『トートバッグ』(2750円)と『がま口ポーチ』(2450円)、人気メニューのプリンやパフェをモチーフにした『キーホルダー』(660円)といった雑貨なども取りそろえる。

*画像はニコアンドの公式インスタグラム『@nikoand_official』より

「どのアイテムもまさに昭和レトロな雰囲気。ぷっくりした厚みを持たせたシール『ぷくぷくシール』(660円)も発売されていますが、このぷくぷくシール自体、当時発売されたものが復刻されるなど、いま昭和レトロなグッズとして再注目されているものなんです」(前出の太田氏)

 2月16日には公式ウェブストアで一部商品の先行予約販売がスタートしたが、予約上限に達し、早々に受付を終了。3月15日にニコアンドの全国60店舗などで一般発売が始まると、ネット上には早速、

《メニューみたいなトートバッグかわいすぎる》
《ぷくぷくシール可愛すぎる!Tシャツもレトロ感があって素敵!》
《可愛いがすぎるTシャツ!2色とも購入しました!》

 といった声が集まっている。

 今後しばらくは、レトロブームに乗ったさまざまな新商品が各所で生まれそうだ。

太田まき子
新潟県出身。大学卒業後、広告会社及びマーケティング会社にて女性向け商材のプロモーション、ファッションカルチャーイベントの企画運営、エンタメ系の広報などを担当。現在は、トレンドのマーケティングやリサーチを行なう