気温が高まり、桜の開花し出した3月下旬。新年度のスタートはもう目前だ。そんな中、すでに盛り上がりを見せているのは1年以上先の2025年4月に小学校へと入学する新入生向けのランドセル市場である。

 ランドセルの販売は通常新入生が入学する1年以上前からスタート。従来であれば、「高くて重たい」商品が当たり前だったランドセル業界に今、変化の兆しが見え始めているという。

 子育て雑誌の編集者がランドセル市場の近況を話す。

「ランドセルの価格はここ10年、高騰を続けてきました。一般社団法人日本鞄協会・ランドセル工業会によると、1990年から2010年まではランドセル購入金額の平均は3万円~3万5000円ほど。しかし、その後、右肩上がりに価格は上昇を続け、14年には4万2400円と4万円の壁を突破しています。23年の平均価格は5万8524円と6万円に手が届きそうな勢いです」

 そうした中、明らかになったのは今年6月から市場に参入するワークマンの存在だ。作業服ブランドとして知られるワークマンだが、「激安価格」を売りにランドセル業界へと殴り込む。

「ネット限定発売で、売り出されるのは税込8800円の『ESスチューデントデイパック』。カラーはブラックのみ、耐久性に優れ、防弾チョッキにも使われる素材を使用するとのこと。転んだり、汚したりしてしまいがちな子どもにとって、丈夫な素材は使い勝手という側面から人気が出そうです」(前同)

 売り出される商品の重さは1300g。人工皮革で作られたランドセルの平均的な重さが1000~1200g、本革製の物がそれよりやや重い1200g~1300gということを考えると“平均的”な重さにとどまるが、1万円を切る圧倒的な安さは魅力だ。そんなことはないだろうが、もし仮に卒業まで毎年買い替えたとしても6個で5万2800円。23年のランドセル平均購入金額(5万8524円)を下回る。

 手頃な価格で軽量、丈夫な布ランドセルとしては、家具販売大手として知られるニトリが昨年、重さ約840gの”超軽量”布製ランドセルを新発売し、話題となった(税込1万9900円/ブラック、パープルの2色展開)。本体生地にはポリエステルやナイロンを使用し、強度と耐久性を担保している。