■イトーヨーカドーも「軽量」布ランドセルを新発売

 ランドセル市場に参入するのはワークマンやニトリに限らない。小売り大手のイトーヨーカドーでは、今年3月16日から発売開始したランドセルの中に、小学生と一緒に開発した『ラクラクリュック』(税込3万1900円/ブラック、ブルーの2色展開)を新しくラインナップ。こちらの重さは約890gと、軽量さが特徴だ。

 これまで、ランドセルの購入活動を指す「ラン活」では機能性や素材、デザインにこだわった結果、購入金額が釣り上がってきたきらいがあるが、その流れはついに終焉へと向かうのか。最近の“軽量・お手頃価格”の潮流について、ランドセル市場を見守ってきたニッセイ基礎研究所生活研究部・上席研究員の久我尚子さんに話を聞いた。

 これまでランドセルの購入価格が高騰してきた理由として、久我さんは「子どもの数が減り、家庭で1人の子どものランドセルにあてられる予算が増えた」ことを挙げる。

「両親に加えて、両祖父母を合わせれば”6ポケット”を1人の子どもにかけることができます。足元では物価高があり、実質賃金はマイナスで推移。食料などの日常的な消費では節約志向が高まっていますが、ランドセルなど、人生の記念となるような非日常的な消費に対しては、“可能な範囲でお金をかけてもいい”という傾向があるのでしょう」(前同)

 ここ一番というときには、いいモノを買ってあげたい――。そうした親族の想いもあり、10万円以上する高級ランドセルも人気となってきた。一方で近年目立つ“軽量・お手頃価格”ランドセルの流れが、今後定着に向かう展望はあるのか。