■「軽量」が注目される背景と過熱しすぎた「ラン活」

 教科書を入れたランドセルの総重量は3.5kg~5kgほどにも及ぶ。重すぎるランドセルは姿勢への悪影響という懸念があるものの、持ち歩く教科書を軽くすることはできない。そのためランドセルを製造するメーカーは各社身体への負担を考慮した商品を意識しているというが、前出の久我さんは、季節や災害時における影響も指摘する。

「近年の猛暑によって夏の通学は熱中症予防が必要になり、少しでも子どもの身体に負担の少ないものという考え方も重要になっています。また、災害も増えていますので、移動しやすさという観点でも“軽量”が重要になっているのかもしれません」

 また、価格については“これまでが過熱し過ぎ”だったと俯瞰する。

「長年、若い世代ほど非正規雇用率が高まり、正規雇用でも賃金が上がらない状況が続いており、子育て世帯の経済状況は厳しくなっていました。一方で、ランドセル市場は”ラン活”という言葉が登場して以降、やや過熱しすぎの感もあります。物価高も続く中で、値ごろなランドセルへの需要が発生することは自然なことかと思います」(前同)