■NHKが「朝に強くなった」のはいつからか
固定ファンの獲得と放送時間の短さを武器に、朝のテレビで不動の地位を築くNHK朝ドラ。第1作目となる北沢彪主演の『娘と私』の放送が始まったのは、1961年のこと。60年以上前から続く番組は、放送開始当初から、時代を先取りしていたというわけだ。
そんな朝ドラの放送開始時間が8時15分から8時へと変更されたのは、2010年。松下奈緒(39)が主演した『ゲゲゲの女房』からだ。
「放送時間変更により、NHKの朝の番組表はより強固なラインナップになりました。8時から始まる朝ドラで、他局の情報番組を蹴散らし、『あさイチ』へとつなげる。『あさイチ』の冒頭でも朝ドラの内容を受けたトークを展開し、視聴者を惹きつけるという仕組みです。情報番組を扱う民放としては非常にキツいですね」(前出の鎮目氏)
現在放送されている朝ドラのタイトル『虎に翼』は、中国の思想家・韓非子の言葉で「強い上にもさらに強さが加わる」という意味。演技派として高く評価される伊藤沙莉主演の『虎に翼』を経て、さらに朝ドラは強くなるのかも。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)