■「サル山」が暑さ対策以外に抱える”イマドキ”の問題点
今の地球環境にはそぐわないサル山の実情。さらに前出のパンク町田氏は、サル山が抱える”イマドキ”の問題点として「サルにもプライベートが必要」とも指摘する。
「どこに行っても常に人の目があり、サルがリラックスできない状態は、サルにとって理想的ではありませんよね。そういった意味で、サル山は来園者にとって“サルが見やすい”ということでは100点満点かもしれないけど、サルたちのプライベートがないという点で、改善の余地はあると思います」(前同)
ストレスを抱えたサルは異常行動を起こすことがあるという。
「狭い所に閉じ込めたり、仲間がいなくなったり、人目にさらされ続けるなど、強いストレスを受け続けたサルは、狭い空間をウロウロするといった野生ではやらない動きをするようになります。人間でいえば、貧乏ゆすりや爪を噛むようなものですね。ただし、根本的な原因が取り除かれない限り、その行動を規制すればいいというものでもありません」(前同)
現在、全国各地の動物園では“動物福祉”(アニマルウェルフェア)という概念が広まりつつある。この考えは動物園などで暮らし、人間の管理下にある動物が、よりよく生きることを目指すものだ。
たとえば北海道・札幌市にある円山動物園では、動物の福祉の観点から2015年にサル山を改修。地面はコンクリートから芝生へと変わり、そのほか擬木や池、洞窟なども設置し、自然環境により近い状態を再現しようと試みている。