■「“福祉”をイメージで言っているだけではダメ」

 動物の飼育環境を自然環境へと近づける動物の福祉について、前出のパンク町田氏は「試行錯誤し続けることが大切だ」と語る。

「“福祉”をイメージで言っているだけではダメですよね。そして、人間が何らかの形で環境を制限して動物を飼育する場合、自然界をそのまま飼育環境に持ってくることが、必ずしも幸せとは限りません」(前同)

 つまりは、サル山なら建設に使われるコンクリートや、飼育のために設置されているオリそのものが悪いわけではないという。サルが暮らすのに十分な広さや隠れる場所、熱のこもらないような地面が飼育施設内に確保されていることが大事だという。

「動物園における動物の“住環境”については、試行錯誤を重ね、その中で良かったものを飼育環境へと取り入れていくことになります。しかし、それも現時点で飼育する側の人間がベターと考えうる環境なだけにすぎません。サル山の暑さ対策のように、数十年後には別の形を模索しなくてはいけなくなる可能性も十分にありますよね。今ある飼育環境が正解の終着点ではないことは意識していきたいところです」(同)

 気象庁は、今年の夏も全国的に気温は高く、猛暑が日本列島を襲うと予想している。動物たちにとってストレスのない環境づくりが、飼育施設にも求められている。

パンク町田
1968年東京生まれ。
NPO法人生物行動進化研究センター理事長、アジア動物医療研究センター長。特定非営利活動法人日本福祉愛犬協会(KCJ)理事。
日本鷹匠協会鷹匠、日本鷹狩協会鷹師、翼司流鷹司、鷹道考究会理事、日本流鷹匠術鷹匠頭。
昆虫から爬虫類、鳥類、猛獣などあらゆる生物を扱える動物の専門家。
野生動物の生態を探るため世界中に探索へ行った経験を持ち、『飼ってはいけない(禁)ペット』(どうぶつ出版)は大ヒットとなった。動物関連での講演、執筆、テレビ出演など多方面で活躍中。