■練習方法は「職場の通路でムーンウォーク」 “つま先立ち”のこだわりは

 通信講座に申し込み、50代目前で本格的にダンスの世界へと足を踏み入れた屋代さん。ふだんは介護予防指導員として、介護施設にて椅子体操や口腔体操を指導しているという。「凝り性」なのは自覚しているそうだ。

「全力でやらないと気が済まない性格で、家の洗面所では鏡を見ながら毎日ロボットダンスの腕の練習、お皿を洗うときも片足立ちでバランスをとりながら。職場の通路も常にムーンウォークで移動して……。

 職場の方たちは最初驚いていましたけど、もう慣れてくれていますね。お客さんが出入りするような場所からも(ダンス姿が)丸見えですが、みなさん適応能力が高くて(笑)。周囲の理解に助けられています」(屋代さん)

歯磨き中もつま先立ち ※画像は「中高年型」こと屋代まどかさんのTikTok『@madoka_yashiro』より

 SNSにダンス動画を投稿し始めたのは、「ダンス動画をスマホに保存していると、あっという間に容量がいっぱいになってしまう」という単純な理由から。しかし、投稿を続けると多数の同志からメッセージが寄せられ、一緒にダンスをする仲間もできたそうだ。それまで家や職場で一人踊っていただけだったが、一気に世界が広がったという。

 こだわりは「つま先で立ち、足を高く上げて踊る」スタイルだ。

「ストリートダンスとして、外でできるダンスにこだわっていて。足の裏をすべらせるムーンウォークだと、床や靴裏がツルツルじゃないとできないけど、芝生でも石畳でもつま先ならムーンウォークができるんです。

 また、つま先で立つと、股関節から脚を動かす可動域も広がり、同じムーンウォークでもスピードの緩急など微調整ができます。ただし、足を高く上げるのは、意図的にやっています。つま先ダンサーって男性が多いのですが、私が同じように踊っても何か物足りなかったんです。ならば存在感を示すべく、派手に足を上げてみようかなと思って」(前同)