16世紀のイギリスで、庶民の舌をわしづかみにしたとされるのはキャロットケーキ。当時は貴重だった砂糖の代わりに、すりつぶしたニンジンを甘味料の代わりに使って焼き上げたとされる伝統の菓子だが、近年、人気を博しているという。

「イギリスでは第二次世界大戦時の食糧難で砂糖が配給制に。その結果、伝統菓子であるキャロットケーキに再度、注目が集まり、以来、広く愛されています。その後、アメリカにも渡り、甘酸っぱいクリームチーズのフロスティング(焼き菓子を覆うクリーム状のペースト)をのせたものが1970年代には流行。こうして英米では定番のお菓子として不動の地位を獲得しました。

 そんなお菓子が最近では、野菜を使ったヘルシーなスイーツとして再注目されています」(トレンドライター)

 その波が今、日本や韓国にも訪れているのだという。若者文化や流行の最先端に詳しいトレンドアナリストの太田まき子氏が、取材に対し最新事情を話す。

「日本では10年ほど前にも一度、流行しましたが、ここ数年で改めて注目を集めています。2022年にはナチュラルローソン、23年にはセブン-イレブンと大手コンビニでキャロットケーキが発売されたほか、無印良品も23年に『植物素材を生かしたお菓子』シリーズの新商品として発売。その23年には、キャロットケーキのみに限定したレシピ本も出版されるなど人気は高まるばかりです」(太田氏)

無印良品の『植物素材を生かしたお菓子 キャロットケーキ』 ※画像は無印良品より

 さらに、若者から絶大な人気を誇る韓流グループもキャロットケーキに現在、夢中だそう。

「4人組男性グループ・SHINeeや8人組男性グループ・Stray Kidsのメンバーが、インスタグラムやYouTubeでキャロットケーキを紹介。それもあって、若者の間でキャロットケーキが注目されているようです」(前同)

 注目度が増すキャロットケーキ。日本でキャロットケーキの認知度を高めた“元祖”的な存在が、フランス・パリに本店があり、11年に日本初上陸、12年に東京・銀座店が誕生した『ローズベーカリー(Rose Bakery)』だ。ここは、先の“スキズ”ことStray Kidsのメンバーが訪れたことでファンにも知られる店でもある。

「ニンジンにクルミやシナモンもたっぷりのスポンジに、濃厚なクリームチーズがどっかりのった同店のキャロットケーキ(イートイン712円/テイクアウト705円・税込、以下同)は、日本人にその美味しさを伝えた存在。“原点にして頂点”という声もあるほど、今も愛されています。

 スキズのヒョンジン(24)が22年に公開したVLOG(ビデオブログ)では、銀座店を訪れた際、“最近の好物”としてキャロットケーキを注文し、あまりの美味しさにうなっていました」(同)

スキズのヒョンジンもうなった『ローズベーカリー銀座店』のキャロットケーキ ※撮影/編集部