6月中旬、ドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)はいつものテレビ画面ではなく、X(旧ツイッター)上を大いに盛り上げた――。

 6月16日、“一人暮らし夜勤明け”だという20代の女性がXに投稿して大きな反響を呼んだのは、『孤独のグルメ』を再生するタブレットが設置された食卓の様子だった。

「コンパクトなキッチンに所狭しと並べられたメニューは馬刺し盛り合わせ、ネギを山盛りにした砂肝、ナスとししとうの焼き浸し、たたききゅうり、納豆・オクラ・長芋に卵黄を乗せたもの、さらに缶ビール。品数の豊富さもさることながら、おいしそうな盛り付けはあっという間に大きな話題となり、Xでは1100万回閲覧超えを記録しました。

 さらに関心を引いたのが、数々のお皿の向こうに設置されたタブレットに、『孤独のグルメ』の五郎さんが映し出されていたこと。 “一緒に食べてる人が素敵”といった声も上がりましたね」(WEBライター)

 2012年1月からテレビ東京系列でスタートした、松重豊(61)主演のグルメドキュメンタリードラマ『孤独のグルメ』。これまで10シーズンの制作が行なわれている長寿ドラマシリーズだ。根強いファンが多く、過去シーズンの一挙放送や再放送も頻繁に行なわれ、現在も『孤独のグルメ全話イッキ見!』として再放送中だ。

 ドラマは1話完結型。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重)が、商談に向かう数々の仕事先でひとり自由に食事をする様子を描く。12年前、0時台という深夜枠で放送が開始するや、その豪快で幸せそうに食を楽しむ姿が視聴者を刺激し、SNS上には《飯テロ》《深夜に見るもんじゃない》といった声が続出。「夜食テロ」なるワードも誕生するほどの大盛り上がりを見せた。

 一見物静かな五郎だが“心の声”は饒舌。食事中には「こういうのでいいんだよ、こういうので」「俺は今生きている。これ以上何を望む」など、数多の名言も生み出してきた。オープニングのナレーション《誰にも邪魔されず、気を遣わず物を食べるという孤高の行為。この行為こそが、現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである》も有名だろう。