■塩ラーメンの奥深さ

 定番の味ながら、なかなか手が伸びないという人も多い塩ラーメンだが、店の個性が最も出ると言う。

「スープがあっさりとして、シンプルですが、だしを取る食材や、味の組み合わせで各店が個性を出しているので、食べ歩きが楽しいんです」(前出のはんつ氏)

 そんな塩部門の第3位は、『おおぎやラーメン』。

「72年に群馬県安中市で創業した老舗チェーンで、首都圏や他の地域ではあまり知られていませんが、実は、国道沿いの激戦区である北関東地方で根強い人気を誇っています」(前同)

 そして、しおラーメン(770〜790円)は、

「淡麗な塩スープに、ワカメのうま味が加わって、じんわりと染みるようなおいしさ。群馬県産の小麦を使用したトロみのある特製麺とも相性抜群でした。また、ラーメンにもつ煮が付いた、ミニもつ煮ランチ(970円)があります。もつ煮をラーメンに入れると、また違ったおいしさがあるので、ぜひお試しを」(同)

 第2位は、『塩元帥』。関西地方で大人気のチェーン店である。

「もとは、『総大醤』という、しょうゆラーメンの有名店でしたが、そこで出した塩ラーメンが人気になり、『塩元帥』が誕生しました」(山本氏)

 看板商品の天然塩ラーメン(891円)は、70種類の食材を使った秘伝のスープが特徴。

「塩をグッと効かせていながら、タレの深みも感じられる絶妙な味つけ。また、手作りの自家製麺を使っていて、そのこだわりようは個人経営店にも負けていません。本格派の人も納得だと思います」(前同)

 また、関西地方ならではのサイドメニューも魅力で、

「牛スジ肉をみそで甘辛く煮た“どて焼き”を載せた、どて丼(616円)や、せんさいな味で、磯の香りを感じられる、じゃこ飯(363円)など、ごはん類も絶品です」(前出のはんつ氏)

■全国250店舗超を展開しているチェーンが1位

 第1位は、『らあめん花月嵐』。ラーメン店の枠にとらわれず、『ゴーゴーカレー』など、多種多様な店とのコラボ商品で人気を博すチェーンで、今や全国250店舗超を展開している。

 オススメは、嵐げんこつらあめん塩(840円)。

「塩ラーメンの中では珍しく、たっぷりの背脂が浮いていて、コクとうま味が凝縮したスープを堪能できます。また、具に大きなチャーシュー、煮卵、のりがのっていて、とても食べ応えがあります」(前同)

 そのまま食べても十分においしいが、せっかくなら、店独自のトッピングを楽しんでもらいたい。

「卓上にある、しょうゆだれを入れて、しょうゆ風に味変するのもよし。でも、定番は、激辛壺ニラもやし。通販でも買える人気商品ですが、お店で食べる際は、3皿まで無料サービスで注文できるので、ぜひ。ラーメンに入れると、ピリ辛のスタミナ系になって、おいしいですよ」(同)

 食べ歩きには塩ラーメンがオススメのようだ。

 さて、ラーメンの海外人気のきっかけは、九州とんこつラーメンを中心とした、“こってり系”の台頭だった。

「87年、東京都で、とんこつラーメン専門店『なんでんかんでん』が創業したのをきっかけに、とんこつブームが到来。タレや魚介だしを合わせた、濃厚系スープが急増して、それが外国人にウケました」(前出のグルメ誌ライター)

 そして、今や世界規模の人気となったのが、第3位の『一蘭』だ。

「60年創業の老舗チェーンで、現在はアメリカ、香港などに支店を展開しています。麺の固さからスープの濃さまでカスタマイズができて、“味集中カウンター”という一人用のカウンター席で食べる、独自のスタイルで有名になりました」(前出のはんつ氏)

 天然とんこつラーメン(980円〜)は、

「福岡県小郡市の九州とんこつをルーツに持ち、まろやかでコクのあるスープに、真っ赤な辛みそを載せるのが特徴。1〜10まで、からさを選べて、それによってからみその量が決まります。からめを選ぶと、後を引くおいしさで、スープを飲み干してしまいます」(前同)

 また、一部店舗では、限定商品も提供している。

「釜煮込み焼豚の煮汁を使ってタレにした、釜だれとんこつラーメンは、濃厚なコク、香りが口いっぱいに広がって絶品ですよ」(前出の山本氏)