「高知東生」の名前から何を思い浮かべるだろうか。Vシネマや地上波ドラマでバイプレイヤーとして活躍していた俳優、あるいは薬物事件で逮捕された元芸能人。あるいは、ツイッターで自身の体験に基づく依存症からの回復の情報発信をしている人、と思う人もいるかもしれない。繰り返し「自分を愛すること」の大切さを語る、高知がいま考えていることとはーー。
【第4回/全4回】
高知さんが今回出版した『土竜』は、初めての小説作品だ。高知さんの半生と実体験に基づく、昭和の高知県の雰囲気が伺える作品だが、高知さんは執筆中何を考えていたのだろうか。
――1月25日に、ネグレクトを受けた幼少期と不良時代、上京してからの俳優業や薬物依存など高知さんの壮絶な経験を基にした自伝的小説『土竜』が発売されました。2月4日には地元の高知県で出版記念サイン会が開催され、小説の中に登場する人物のモデルになった方もいらっしゃったようですが、本が発売された今の心境を教えてください。
本を出させてもらった心地のいい責任というか……実感が湧いてきました。本が発売されるまでは、やっぱりどこか実感が湧かなかったんですが、だんだん周りの人たちからの反応が大きくなっていって。最初は戸惑いもありましたが、今では本当に嬉しいです。
友人はもう本当に嬉しそうに、喜んでくれました。“勝手にモデルにして”とか、何か一言二言文句を言われたり、許可を取ってないと怒られたりするかと思っていたら、とんでもないぐらい大喜びしてくれて。
改めて仲間と会って、今の時代の人に、古くさくなく俺たちみたいに生きてきた人の心が通じればいいなあ、と思いました。時代の流れと共に忘れていたものがすごくよみがえって。精神的にも実際に会うという意味でも、軽く同窓会ができたような感覚でした。だから、僕はパワー全開ですね(笑)。もう今大変ですよ、土佐の香りをひっさげて。