■「生きるだけでも頑張ってるんだから」高知さんが読者に伝えたいこと

――小説『土竜』の読者に伝えたいことはありますか?

 僕の1人の経験の中で、昭和を生きてきた人間なので、“昭和ノスタルジー”を残したまま、あくまでも古臭くないように、今、本当にこのおかしな世の中ですけど、どんな状況でも今を生きてる人たちにわかりやすく伝わるように心がけました。その塩梅が大変だったんだけど……。

 僕自身がモグラで、本当に泥臭く生きてきた様を『土竜』で自分は表現したつもりです。“お前、泥臭く生きることはかっこ悪くなくて、かっこいいんだよ”っていう。自分の生き方にも照らし合わせてもらって、自分は1人じゃないんだってことに共感したり、本には、僕なりのポイントごとにメッセージを入れているので、そこに気づいてもらえると嬉しいです。生きるだけでも、もう十分みんな頑張ってるんだから、“楽しもうぜ”って伝えたいですね。

――ありがとうございました。

■高知東生(たかち・のぼる)
1964年12月生、高知県高知市生。1993年に芸能活動を開始、俳優として活躍。2016年6月に覚せい剤と大麻所持容疑で逮捕される。2020年9月に自叙伝『生き直す 私は一人ではない』(青志社)、2023年1月に自伝的小説『土竜』(光文社)を出版。現在、薬物依存症からの回復の啓発活動など、多岐にわたる活動をしている。