■依存症の仲間たちが小説執筆の背中を押してくれた
――高知さんは、今回出版された『土竜』が初めての小説作品です。最初、小説執筆の依頼が来たときはどう思いましたか?
当時僕は『生き直す』の作業に取り掛かっていました。光文社さんから書籍のお話を頂いて、“ちょっともう無理だな”と思ってたんですよ。断ろうとして、よくよく聞いてみたら、小説を書いてみたらどうか、っていうお話で。自分にセンスもないし、うまく文章も書けないし、正直な話、“ムリムリ”と思ってたら、依存症の仲間たちが、"何言ってるんですか”と言ってくれて。
この小説に限らず、自分の人生に自分でストップをかけないで、“小説を世の中に出したくてたまらない人たちがどれほどいると思うんですか”、“このチャンスは最善を尽くして、一生懸命やってダメだったらダメでしょうがないじゃないですか”って背中を押してくれました。
今までの部分でもう俺はダメだと思ってたけど、それだと何にも前に進まないんですよね。あとは、やっぱり年齢が、還暦から考えた方が近い年なのに新たなことに挑戦をするのは果たして自分にとってどうなんだろう、と考えました。でも周囲の声を聞いて、チャレンジしてみようという気になりました。