■注目だった「めめ月9」は視聴率は苦戦

 櫻井が出演する『笑うマトリョーシカ』は過去と現在を行き来したり、多くの登場人物の思惑が絡み合う、複雑なサスペンスドラマ。難解で見る人を選びがちなジャンルであるのに加えて、説明セリフの多さや、いかにも視聴者のミスリードを狙うようなシナリオに難色を示す声もある。

 山田主演の『ビリ×スク』は “素性を隠した型破り教師と問題児クラスの物語”という点で、仲間由紀恵(44)主演の名作『ごくせん』シリーズ(日本テレビ系/2002~2009)を引き合いに出し、前向きに“令和版ごくせん”と評価する声もあるが、“焼き直し”という厳しい評価も出てしまっている。

 そして、中島主演の『しょせん他人事ですから』はネット関係の細かい法律知識の説明など演出面もストーリーも分かりやすくて好評だが、《原作結構好きだから見たけどなんかテンポが……ゆっくり?》など、1つの事件を1話完結にせず前後編で深く描く構成が合わない視聴者もいるようだ。

「その他にも、夏ドラマでは放送前から特に期待度が高かったSnow Man目黒蓮さん(27)主演作『海のはじまり』(フジテレビ系/月曜夜9時~)が思っていたほどの数字が取れておらず、7月15日放送の第3話はコア2.4%。最近の月9の低迷ぶりからすれば善戦していますが、第1話が2.9%だったのが最高で、数字は落ちていっています」(前出の制作会社関係者)

『海のはじまり』は、目黒の出世作『silent』(22年10月期)の村瀬健プロデューサー、脚本家の生方美久氏、監督・風間太樹氏らが再結集して制作されている作品。

※画像は『海のはじまり』の公式X『@umi_no_hajimari』より

『海のはじまり』も、登場人物を丁寧に描いたシナリオの評判はいいものの、“昔の恋人の妊娠を知らず突然父親になってしまった主人公(目黒)”“過去に身籠った子どもを中絶したことがある恋人(有村架純/31)”など、シリアスで重い内容に《しんどい》《辛い》といった声は多い。

「生方氏は助産師として働いていた経験があるため、説得力のあるシナリオだしドラマ好きには好評ですが、気軽には楽しめないという評価になりつつあります。ドラマライトユーザーが離れてしまったようで、それがリアルタイムの視聴率の悪さに影響していると考えられています。

 一方で、脚本・演出の良さも相まってコア視聴率が好調な旧ジャニーズドラマも2本あります」(前同)

 1つは、二宮和也(41)が主演の医療ドラマ『ブラックペアン シーズン2』(TBS系/日曜夜9時~)。シーズン1(18年4月期)から6年ぶりの続編で、実績のある『日曜劇場』枠ということで、放送前から注目度の高い作品だった。

「二宮さんは23年10月に旧ジャニーズから独立していますが、“旧ジャニーズ俳優”の印象はいまだに強いですよね。

『ブラックペアン』は二宮さん演じる天才ドクターによる、劇中で“芸術”と評される超凄腕の手術シーンは圧巻です。シナリオ面はしっかりと医療監修をつけて最低限のリアリティラインは確保しつつもエンタメ感が強くて見やすいし、天下の日曜劇場のスタッフによる演出も素晴らしい。

 特に第3話(7月21日)のコア3.0%という数字は、裏番組を考えるととんでもない高視聴率でした」(前同)